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過去の放送

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2012年7月28日放送 三遊亭楽春さん(第1798回)

会場
榛原中学校(牧之原市)
講師
落語家 三遊亭楽春

講師紹介

1963年千葉県生まれ。
1985年五代目三遊亭円楽に入門。
1988年二つ目、1992年真打に昇進。
日本全国に落語を広めるための出張落語会や
小中学校での落語鑑賞会の活動も行っている。


ポイント第1798回「伝統芸に学ぶコミュニケーション」

落語と聞くと、堅苦しいとか難しいとか思う人もいるようですが、そんなことはありません。
"伝統芸"ですから、皆さんの中にもそうした心が残っているのです。
でも、皆さんの知らない面もあります。

私がこの世界に入ったのは27年前です。
先代の三遊亭円楽師匠に弟子入りしました。
落語は、最初が前座、そのあと二つ目、最後に真打と上がっていきます。
前座で、お茶を出したり師匠たちの着物をたたんだりしていたある日、
師匠が私に、「遊んでるよ」と言いました。
何かと思いますと、私の耳が遊んでいたそうです。
師匠いわく、「どんな仕事をしていても、
落語家の弟子ならば耳は高座に向けていなければいけない」というのでした。

師匠によって、同じ落語のネタでも、違う演出をするので、
ちゃんと聞いていなければ分からない、いつかそれが自分の身になると言われました。

コミュニケーションの第一歩は相手の言葉を聞くことです。
それには2つの土台があります。想像力と表現力です。
まず、相手が何を求めているのか、アドバイスなのか、助けなのか、愚痴なのかを知ることです。
それが分かればどう答えたらいいのかを自ずと知ることが出来ます。
聞いてくれれば相手もうれしいので、話が弾んでコミュニケーションのキャッチボールが出来ます。

落語では何もないところで演技をします。
私が「お茶が飲みたいね」と言って、次は私が別の人になり「そうですね」と言う。
湯飲み茶碗を持っているふりをして、飲むふりをします。
でも、聞いてくれる人が想像してくれないと、そのキャッチボールが出来ない。
落語家が表現し、お客さんが想像することで落語は成り立つのです。

前座の頃、支配人に言われてお客さんの呼び込みをやりました。
最初は必死ですごい形相をしていたのでしょう。
誰も入ろうとしてくれませんでしたが、あるとき師匠が出てきて
「君のこわばった顔を見ていたら入ってくれない。もっと笑顔でやってごらん」といってくれました。

気分が楽になり、笑顔で呼び込みを始めたら、途端に5人10人と入ってくれました。
「笑顔に矢立たず」とはよく言ったものです。

落語の演技や笑い、人情話も、人と人とのコミュニケーションに役立ててもらえればと思います。

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