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過去の放送

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2012年10月13日放送 相田一人さん(第1809回)

会場
大須賀中央公民館(掛川市)
講師
相田みつを美術館館長 相田一人

講師紹介

1955年栃木県生まれ。相田みつをの長男。1996年から相田みつを美術館の館長を務める。全国各地での講演活動や執筆活動などを行う。2024年、相田みつを生誕100年を迎えた。


ポイント第1809回「雨の日には雨の中を」

2011年3月11日の東日本大震災の日、
東京国際フォーラムの中にある私どもの美術館の周りにはたくさんの帰宅難民があふれ、
フォーラムの中で数千人の人が夜を明かしました。
それから1週間たったころ、父の作品がインターネットでものすごい勢いで出回りました。
それが「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」という作品でした。

震災後はコンビニやスーパーなどで物資の買い占めがおこり、
それを落ち着かせるためにこの言葉が使われたとのことです。

義援金の募集や、ボランティアのTシャツに使いたいという申し出もあり、
それがあまりにも多かったため、美術館として初めてのことでしたが、
ホームページにこの言葉をのせ、無料でご自由にお使い下さいとお知らせしました。
そしてこの言葉は復興支援の合言葉のようになりました。
父が生きていたらきっとびっくりしただろうと思います。

当時、海外のメディアでは、日本の様子がとても不思議だと伝えていました。
それは、あんな大災害の後は必ず暴徒が出現したり、暴動がおきたりするはずなのに、
日本ではそれが全くないということに対する驚きでした。
どうしてこんな状態の中で日本人は治安を保っていられるのかと。

私は、普段忘れていても、日本人はこんな時には湖の底から浮き上がってくるように、
お互いを思いやるような気持ちが湧いてくるのではないかと思います。
「うばい合えば~」は父の言葉ですが、
日本人の心のある一面を表しているような気がします。

もう一つ震災後に出回ったのが
「どじょうがさ、金魚のまねすることねんだよなあ」という言葉です。
これは、どじょうと金魚を比べることに意味などない、
それぞれが本物なのだという意味です。

「雨の日には雨の中を 風の日には風の中を」という言葉も短い言葉の中に
「今の状況から逃げることなく、まっすぐに生きる」という父の生き方が
込められていると思います。
当たり前のようですが、東日本大震災後の今、
もう一度この当たり前のことを思い返してもいいのかなと思っています。

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