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過去の放送

過去の放送

2013年2月23日放送 セルジオ越後さん(第1826回)

会場
小山町総合文化会館
講師
サッカー解説者 セルジオ越後

講師紹介

1945年ブラジル・サンパウロ市生まれ。
18歳の時、サッカーチーム「コリンチャンス」とプロ契約。
1972年来日、全国各地で延べ60万人以上の少年にサッカーを指導する。
アイスホッケー「日光アイスバックス」シニアディレクター。


ポイント第1826回「スピード社会の落とし穴」

私は昭和47年にブラジルから日本に来ました。
会場の皆さんの中にはまだ生まれていなかった人もいるでしょう。

ちょうどオイルショックの頃で、日本人が先を争って
トイレットペーパーを買っているのが奇妙に思えました。

日本は遠い国で、当時まだ小さい飛行機でしたから
たくさんの寄港地を経て長い時間をかけて羽田に着きました。
すべてが珍しく、ブラジルに比べればとても近代的でした。
でも、まだエスカレーターやエレベーターがそれほど普及していなくて、
アパートにも階段しかなく、自然によく歩いたものです。

最初に住んでいた栃木県の黒磯から電車で北九州に試合で遠征しましたが、
片道18時間かかり、90分試合をしてまた18時間かけて帰って来ました。
北九州はヨーロッパより遠かったのですね。
当時、銀行が自宅に集金に来たり、給料が現金で支給されていたりしました。
人は考える能力があるので、どんどん開発が進み、
それに飲まれてしまうと、本来の良さが奪われていくと思います。

例えば、昔は新幹線こだまが速かったのに、今は遅いと言われる。
ひかりでも遅いと。
よくプロペラ機で移動しましたが、それも経験していない人にはわかりませんね。

ブラジルで子ども時代、テレビは家になく、お金持ちの家まで歩いて見に行ったものです。
テレビを見るために歩くのです。
今はどうでしょう、ボタンを押せば一歩も動かないですみます。

人が動かない時代です。便利と言いながら、
「最近運動不足だ」と嘆いています。
スイミングスクールにも送迎バスで行き、
大人はクルマでジムに出かけ、動かない自転車をこいでいます。

考えるのが面倒だとばかり、みんなせっかちになり、
ひとつの物事を分析する時間を持たなくなりました。

私の時代は古いかもしれませんが、
40年前に来たとき誰も友達がいなかった私がこうして日本で生きてこられたのは、
たくさんの友達を作れたおかげだと思っています。
スピード社会の陰で失われたものもあるということを確認してほしいと思います。

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