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過去の放送

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2014年1月25日放送 白石豊さん(第1872回)

会場
豊田南小学校(袋井市)
講師
福島大学教授 白石豊

講師紹介

1954年岐阜県生まれ。
筑波大学大学院体育研究科修了。
現在、福島大学人間発達文化学類教授、福島大学附属中学校校長。
サッカー日本代表岡田武史元監督のチーム作りをメンタル面でサポートした。
多くのトップアスリートのメンタルの指導も行っている。


ポイント第1872回「人を育てるコツ」

1972年に東京教育大学(現・筑波大学)に入学して体操競技をやりました。
1年生の秋、練習から戻ると下宿の隣の部屋にいた大学院の先輩の手紙が置いてあり、
「しばらく幼稚園のアルバイトを代わってほしい」と書いてありました。
私は1年生で英語の授業があるので無理だと思いましたが、
そこに書いてあったアルバイト代の額の多さにびっくりしたのと同時に、
これはおいしいなと思い、英語は2年生で取ればいいと、引き受けることにしました。

それに、幼稚園児なら体操の技を見せれば何とかなるという風に簡単に考えていました。
ところが、実際に授業をやってみると、体操を見せて喜んでくれたのは最初の3分だけ、
後はみんな園庭を駆け回って私の話など聞いてくれません。
「集合!」と言っても逃げて行くだけです。
たった30分でくたくたになってしまいました。

私はすっかり自信をなくし、終了後、園長先生に謝ると、
「無理もないです。でもほかに頼む人もいないのでこれから勉強してください」と言われました。
そこで私はそのまま帰らずに、
ほかの先生たちがどんなん風に園児たちを動かしているのかを見てみることにしました。

先生たちは「集合!」などと言わず、両手をあげて「お集まり」と言います。
「前へならえ」は「とんとん前」です。
常に同じ目線で話し、一人ひとりちゃんと名前を呼んでいました。
なるほどと思いました。

それから3カ月ほどで子どもたちがやっとついて来てくれるようになり、
そのアルバイトを7年間続けたことで、
教育実習のときには中学生や高校生などの授業がとても楽に出来ました。

その後、大学の助手になった時、体操の恩師から、
選手をやめ、コーチになるよう言われました。
そして、13年間遠ざかっている優勝を目指せと。

わたしは「がんばります」と答え、死に物狂いで選手を叱咤し、
きびしく指導して本当に4ヵ月後に優勝しました。
それから5年間で3度の優勝を成し遂げ、私は有頂天でした。

ところが、3回目の優勝の後、大阪大学の名誉教授である佐保田鶴治先生から、
「人間でも、サーカスのライオンのように、飴と鞭によって条件反射で芸を覚えることが出来るが、
それは教育ではない」と指摘され、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしたのです。
私は、幼稚園のアルバイト時代に学んだことを生かせなかったのです。

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