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過去の放送

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2015年1月31日放送 志茂田景樹さん(第1922回)

会場
雄踏文化センター(浜松市)
講師
作家・よい子に読み聞かせ隊隊長 志茂田景樹

講師紹介

1940年静岡県生まれ。
中央大学法学部卒業。
1980年「黄色い牙」で第83回直木賞を受賞。
1999年、「よい子に読み聞かせ隊」を結成。
自ら隊長となり幼稚園、保育園のみならず、
専門学校や大学にも訪問。
著書「団塊世代の叫び」「そばに君がいたから」など。


ポイント第1922回「ぞうのこどもがみたゆめ」

2011年の暮、気仙沼大島でお話の会をされている方から

読み聞かせの依頼がありました。

震災から半年、ようやく復興への前向きな気持ちが出てきたとのことでした。

僕はこの島のことを知らず、調べてみると

最盛期には8千人ほどの人口があり、漁業が盛ん、

そしてこの島で水揚げされるイワシは型が大きくて美味と言うことでした。

また、この島は自然も美しく、「緑の真珠」と呼ばれているとのこと、

誰がそんな名前を付けたのかと調べていき、

その人の名前を知ったとき僕は、

あっ!という叫び声を上げていました。

僕は小学校の頃、「少年」と言う雑誌に毎月掲載されていた、

水上不二という人の、海に関する詩を愛読していました。

海の近くで育ち、小学校で東京に出た僕は、

とても懐かしい思いでその詩を読んでいました。

水上さんは大島で生まれ育ち、

その後東京に出て同人誌を作っていました。

その小金井の小学校に転校してきた女の子が

きょうこちゃんという不二さんの娘さんでした。

その不二さんが故郷を思って書いたこんな賛辞があります。

「海は命の源、波は命の輝き、大島よ永遠に緑の真珠なれ」という詩です。

それで初めてきょうこちゃんのお父さんが大島の出身と知りました。

不思議な縁を感じました。

僕は大島へ行き、読み聞かせをやりました。

大島の港はがれきの山でした。

不二さんの母校で読みきかせをやり、

東京に戻ってから、図書館で不二さんの作った詩を調べました。

2冊しかなく、その中には探していた「少年」に掲載されていたものは

見つかりませんでした。

でも、胸にジーンときた詩を見つけました。それがいわしの詩です。

「いわし、いわし、いわし、およいでいけ、

青い海を 急いでいけ 

たった一匹残されて、いけすのなかをおよいでいる

いわしをぼくは にがしてやった(中略)

いわしはそれがうれしくて ぼくにお礼を いったのだろう。

からだをふって ふって いきいきと 海をしばらく わたっていった(中略)

おとうさんがおきでまっている おかあさんがおきでまっている(中略)

ぼくはいのったいわしのために(後略)」

困難なことがあっても、

自分の描いた夢を目指して

一生懸命泳いでゆこうという気持ちにさせられる詩でした。

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