2015年3月28日放送 藤原和博さん(第1930回)
- 会場
- 榛原中学校(牧之原市)
- 講師
- 教育改革実践家 藤原和博
講師紹介
1955年生まれ。
1978年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。
2003年より5年間、東京都内では義務教育初の
民間人として、和田中学校校長に。
著書「坂の上の坂」は12万部を超えるベストセラー。
番組で紹介した本
初めて哲学する本 著者:藤原和博(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)第1930回「脱常識で豊かな発想を」
今日は、頭を柔らかくすることを皆さんと共有したいと思います。
日常を見直してみるとゆとりが生まれます。
もし、肩が凝っていたらどうしますか?
手でもんだりしますが、頭が固くなってもそれはできません。
そこで僕が、世の中科という授業で考えたのは、
まず、常識や前例を疑います。
すると呪縛が説かれて頭が柔らかくなり、生活に彩りが生まれるのです。
なぜ喪服は黒いのかを考えてみます。
小学生にそれを聞かれたら何と答えますか?
こういう時、みんなで知恵を出し合うのがいいのです。
いわゆるブレーンストーミングです。
おそらく、故人が主役だから目立たない黒がいいのではとか、
参列者は陰にいるべきだからとかいう理由が出てくるでしょう。
しかし、そうしたソフトな理由というのは後からついてきたもので、
事実は違います。
江戸時代までの喪服は白だったのです。
時代劇を見れば切腹の際の衣装は白装束です。
また、お棺に入れるときも白装束です。
ではなぜ黒になったかというと、明治天皇が崩御されたときに
諸外国からの弔問客が身に着けていたのが黒いタキシード。
それで、世界の常識は黒なのかということで次第に黒に変わってきたのです。
また、昭和の歴史は戦争の歴史ですが、
たくさんの葬式が毎日出ると、
白よりも黒のほうが汚れが目立たないので黒が主流になりました。
100年をかけて白が黒に変わったのです。
もっと歴史をさかのぼってみると平安時代には黒の時代もありました。
もしかすると、あと50年後にはまた、喪服が白くなっているかもしれません。
白と黒のテーマで考えると、白いものを黒くしてもいいのは何か、
家電や車は最初みな白でしたが、黒もおしゃれだと黒か作られ、
最近は黒いトイレットペーパーや黒いまな板などが出ています。
新しい知恵を出すコツは、周りの意見に左右されず、
人の意見をつぶさず褒めちぎることが大事です。
冗談みたいな意見でも言っているうちに
だんだんと面白いアイデアが生まれるものです。
いま、車のタイヤは黒くて丸いですが
将来は四角くて白いタイヤが生まれているかもしれません。