2016年1月17日放送 白石豊さん(第1968回)
- 会場
- 榛原中学校(牧之原市)
- 講師
- 福島大学教授 白石豊
講師紹介
1954年岐阜県生まれ。
筑波大学大学院体育研究科修了。
現在、福島大学人間発達文化学類教授、福島大学附属中学校校長。
サッカー日本代表岡田武史元監督のチーム作りをメンタル面でサポートした。
多くのトップアスリートのメンタルの指導も行っている。
番組で紹介した本
「ボディ・ブレイン」 どん底から這い上がるための法則 著:下柳剛(水王舎)第1968回「心の整理法」
この30年、たくさんの日本のトップアスリートが私のところに来ています。
一流選手になればなるほどプレッシャーも大きく、
心に悩みも抱えています。
それを解決するために3つの技法があります。
1つ目は面談です。アドバイスはしません。
問題を解決するのは自分自身だからです。
ですからひたすら耳を傾けます。
1対1になり、一般的な話から始め、徐々に悩みに迫っていきます。
中にはもうその競技を辞めようかと思っている選手もいますが、
1、2時間経つと、暗い顔が次第に明るくなり、
最後には「今日はいいお話を伺い、ありがとうございました。」
と言って帰っていきます。
ところが、私はただ聞いていただけなのです。
皆さんがご家庭でお子さんと話をするときも聞いてあげることが重要です。
悩んでいるとき、2つの椅子を用意します。
片方は悩んでいる主観的な自分。
もう1つは聴いている私の椅子(白石)。
そして、白石の椅子に座ってごらんと言います。
すると不思議と風景が変わり、客観的に自分が見えてきます。
答えは自分の中にあるのです。
目指すのはセルフコーチング。
自分で自分をコーチングするくらいの力をつけてほしいのです。
お子さんの部活も受験も、その門の前までは一緒に行けても、
実際に問題を解くのは本人なのです。
2つ目はメンタル日記です。
多くの選手たちはトレーニングの内容を日誌に書いていますが、
それに加えて心の動きを書いてもらいます。
例えばミスをして監督に怒鳴られたとすると、
そのことを心の部屋の中に蓄積してしまうことがあります。
ノートにはその事実を書き、そのことで心がどう動いたのか、
そしてどう対処すべきかを記しておきます。
口に出すことだけでは忘れてしまいますが、書いておけば整理されます。
3つめは瞑想です。なぜこんなものをと思われるかもしれませんが、
亡くなった川上哲治さんが、監督としてジャイアンツをBクラスに落としてしまい、
悩んだ末に座禅を取り入れたことがご自身の本にも書かれています。
私もヨガの瞑想を30年やっています。
目を閉じて座り、自分の中にあるうごめいているものは何かと瞑想します。
元阪神タイガースの下柳投手も私のところに来て、
瞑想を取り入れたのがきっかけで、史上最高齢の37歳で最多勝のタイトルを取りました。