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過去の放送

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2017年2月26日放送 内藤いづみさん(第2022回)

会場
裾野市生涯学習センター(裾野市)
講師
在宅ホスピス医 内藤いづみ

講師紹介

1956年山梨県生まれ。福島県立医大卒業。
1995年甲府市にふじ内科クリニックを開業。
命に寄り添う在宅ホスピスケアを30年近く
実践し、自宅での看取りを支えている。


ポイント第2022回「夢をかなえる」

ホスピスという言葉は今ようやく市民権を得ましたが、

それには30年ほどの時間がかかりました。

私たちの先輩はイギリスにいて、その方々は半世紀も前から、

がんになっても様々な治療の選択肢があって

最後はどこで過ごしたいかということも

自分の意志で決めるという時代が来るように願っていました。

私の最も尊敬するシシリー・ソンダース先生の夢は、

がんで苦しむ患者さんたちが

「生きていてよかった」と思える時代を作りたいと言うことでした。

そんな夢のかけらをいただいて、

私を含めた後輩たちが世界中でその種を育てています。

ホスピスケアは今、"緩和ケア"という言葉になって、

日本ではすべての人がそのケアを受けられるようになっています。

ある意味で私の夢はかなったのかなとも思いますが、

皆さんはどうでしょうか?

自分の人生を生き切る中で、

どうやってその夢をかなえてゆくのかということを考えてほしいと思います。

是非、夢があったらぜひ小さな紙にでも日記に書いてください。

書くとあとで振り返ってみることが出来ます。

私はどうだったかなと考えました。

すると七五三の3歳の時のことを思い出しました。 

お母さんが髪にきれいなリボンをつけてくれ、

着物を着て玄関で写真を撮りました。

そして、5歳のときに家でおばあちゃんが亡くなります。

当時、日本では多くの人が自宅で亡くなっていました。

それは普通のことでした。

町に診療所があってお医者さんが地域の住民を最後までしっかりとみてくれ、

赤ちゃんはお産婆さんが家で取り上げてくれました。

半世紀前には命は皆さんのそばにあったのです。

命というのは本や映像ではなく、触って抱きしめないとわからないものです。

私は、母が懸命に介護したおばあちゃんの亡くなるときの様子を見ていました。

おばあちゃんがだんだんと口も利かなくなり、弱っていき、

ある朝目を覚ますと大人たちが階下でがやがやと大人の声がしました。

おばあちゃんが一番いい大きな部屋に寝かされていました。

私は駆けより、白い布を取って頬ずりしようとしました。

でもそれは昨日までの温かいおばあちゃんではありませんでした。

私の初めての経験でした。私はその時、命は神秘的なものだと感じました。

それが私の医者になるきっかけになりました。

そして、どんな人も笑顔のまま亡くなっていく時代を作るとう夢を抱えて

留学先のイギリスから戻って来たのです。

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