2018年7月 1日放送 鎌田實さん(第2087回)
- 会場
- 静岡労政会館(静岡市)
- 講師
- 医師・作家 鎌田實
講師紹介
1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。
第2087回「だまされない」
日本人の平均寿命が延び、人生100年時代と言われるようになりました。
人生の最後を迎える直前まで健康で生きていくにはどうしたら良いのか、
今日はそのポイントを3つ紹介したいと思います。
1つ目は「少しの我慢」です。
アメリカの大学教授が行ったマシュマロ・テストという非常に有名な研究があります。
皿の上に載せたマシュマロを小さな子どもに見せて
「1時間食べるのを我慢できたらもう1個あげる。」と言います。
すると23%ほどの子どもが我慢する事ができます。
さらに子どもたちのその後を追跡調査した結果、
我慢できた子どもは「大きくなっても集中力が違う」とか
「壁にぶつかっても突破する力がある」という差が出たのです。
「肥満率」も我慢できるかどうかに関わってくるようです。
私が長年健康について指導してきた長野県を例にとってみても、
県民の皆が我慢できる人たちかというとそうではないと思います。
ところが、今では日本で有数の長寿県として知られています。
もちろん全く我慢しなくていいとは言いません。
我慢には努力が必要ですが、ほんの少し我慢する気持ちを忘れずにいる事で、
仕事も健康もいい方向に動いていくのではないでしょうか。
2つ目は「ヘルス・リテラシー」についてです。
これは簡単に言うと「命の知識」とか「健康の知識」という意味です。
ある研究で、自分が病気をした時に
どこの病院のどの先生に診てもらうべきかわかっているかどうか、
日本とオランダを比べてみたそうです。
すると日本では60%以上の人が戸惑うが、
オランダでは4~5%の人しか迷わないという結果でした。
人によって健康法は違うはずです。
血圧が高い人、糖尿病の人、それぞれ注意点が違います。
自分にとってどのような健康法が良いか、
日本では40%以上の人が分からないと言います。
しかしオランダではほとんどの人が知っているのです。
私たちの周りには様々な健康情報が溢れています。
ただ「わからない」というのではなく、
自分に合った健康法を見つけて実行する「ヘルス・リテラシー」は大切な事です。
3つ目は「貯金より貯筋」です。
筋肉を貯えると書いて「貯筋」、これが大切なのです。
今現在、私が実践している「鎌田式スクワット」を皆さんも一緒に体感してみましょう。