2019年4月14日放送 大日向雅美さん(第2125回)
- 会場
- 静岡学園幼稚園(静岡市)
- 講師
- 恵泉女学園大学学長 大日向雅美
講師紹介
1950年生まれ。
お茶の水女子大学大学院修士課程修了。
2016年、恵泉女学院大学学長に。
専門は発達心理学。
母親の育児ストレスや育児不安を研究。
子育てひろばの施設長も務める。
番組で紹介した本
「みんなママのせい? 子育てが苦しくなったら読む本」 著:大日向雅美(静山社)第2125回「私は"ダメママ?"と悩むお母様たちへ」
私は子育てに奮闘する母親たちの声を長年聞いてきました。
昔も今も変わらないのが
「私って、母親として失格じゃないかしら?ダメじゃないかしら?」と悩む声です。
そういう声を聞くと私はいつも
「自分はダメかしら?と悩む事はとっても素敵で大事な事ですよ。」と答えています。
悩んでいるという事は、裏を返せば一生懸命子育てを頑張っているという事だからです。
子どもを愛そうとしているからこそ自分の至らない点が気になります。
「私ってダメなんじゃないかしら?」と感じるお母さんは人の意見を聞こうとして、とても謙虚です。
だから私は伝えたいのです。「"悩む事"に胸を張って下さい」と。
ではなぜ子育てに悩むのでしょうか?
最近多いのは「他人と比べてしまう」悩みです。
私たち人間は他人との関係の中で生きている訳ですから、
他人の目を気にする事もある意味、大切な事だと思います。
では"誰の目"を気にすればいいのか?
それはお母さんの事を一番良く知ってくれている人、一番大事に思ってくれている人の目です。
たくさんでなくてもいいです。一人でも二人でもそのような人がいればいいのです。
そうすれば子育てで悩んでいる時、その人のアドバイスを素直に受け入れる事ができると思います。
もう一つの原因は、悩んでいるお母さんは辛いという事です。
一番多い声に「私はなぜ子どもに優しくなれないのか?」というものがあります。
24時間子どもの世話をしていると、時にはヒステリックになるのも当たり前です。
「ワンオペ育児」という言葉が象徴していますが、
一人で全て子育てするのは辛くて当たり前だという事を理解しましょう。
最近になってようやく社会も母親の辛さに気付き、様々な子育て支援も始まりました。
しかし一方で、「子育てはお母さんがやるべきだ。」という根強い意見が多いのも現実です。
その最たるものが「3歳児神話」です。
子どもがまだ小さいのに母親が働くのはかわいそうだという意見は
私が子育てについて研究を始めた40年前から全く変わっていません。
この意見がどんなものなのか?今日は詳しくお話ししたいと思います。