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2011年4月23日放送 小菅正夫さん(第1734回)

会場
大井川公民館(焼津市)
講師
札幌市円山動物園参与 小菅正夫

講師紹介

1948年北海道生まれ。
北海道大学獣医学部卒業後、旭川市旭山動物園に獣医師として勤務。
飼育係長、副園長を経て1995年園長に就任。
現在は札幌市環境局参与円山動物園担当。


ポイント第1734回「ホッキョクグマの子育て」

ホッキョクグマは人気者で、全国の動物園にいます。
旭山動物園には、昭和48年にやってきました。
          
ある日、泣き声が聞こえ、ホッキョクグマに赤ちゃんが生まれた事が分かりました。
しかし、我々は妊娠に気付いておらず、大慌てになりました。
そして驚く事が起こりました。母グマが赤ちゃんを食べてしまったのです。
頭は真っ白になりました。しかし、すぐに全国の動物園を調べました。
すると子どもはあちこちで生まれていましたが、育った例は皆無でした。
親が放置していたか食べられていたのです。

何でこんな事が起こるのだろうと世界中の動物園を調べ、
自然界の事例も勉強した結果、ロシアの動物園で繁殖に成功していることがわかりました。
日本の動物園と決定的な違いがありました。
それは、巣穴、産室の広さと明るさ、温度でした。
日本は、母グマが窮屈で困らない様にと広くて明るく暖かな産室を用意していましたが、
ロシアの動物園は、狭くて暗く温度も低かったのです。

旭山動物園は、すぐにロシアのような産室を作りました。
すると、母親のホッキョクグマはすごく落ち着いた状態で産室に入って行きました。
そして、赤ちゃんの鳴き声が動物園に響きました。
後は母グマに任せるしかありません。
毎日不安でしたが、泣き声は一週間続きました。
ちゃんとおっぱいをあげている証拠です。
一ヵ月後には、泣き声が母グマに甘えているような声になりました。
半年後には、産室から太陽の下に出てきました。
日本で初めて、旭山動物園がホッキョクグマの繁殖に成功したのです。

どんな動物でも、子育てには不安があると思いますが、
自然界で本来暮らしている状態をいかに作ってあげられるかが、
我々のつとめであり、基本だと教わりました。

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