2019年4月28日放送 内藤いづみさん(第2127回)
- 会場
- 菊川文化会館アエル(菊川市)
- 講師
- 在宅ホスピス医 内藤いづみ
講師紹介
1956年山梨県生まれ。福島県立医大卒業。
1995年甲府市にふじ内科クリニックを開業。
命に寄り添う在宅ホスピスケアを30年近く
実践し、自宅での看取りを支えている。
番組で紹介した本
「4000人のいのちによりそった“看取りの医者”が教える 死ぬときに後悔しない生き方」 著:内藤いづみ(総合法令出版)第2127回「二人そろえばコミュニティ」
私は30年以上前にイギリスでホスピスケアについて学びましたが、
まだ当時の日本ではなかなか理解してもらえませんでした。
世の中には「がん」という病気に罹り、
これ以上治療できないと言われた患者さんがたくさんいます。
その方々が亡くなるまでの残りの時間を病院でただ過ごすのではなく、
家で生き生きと暮らせるように支援する活動です。
その後、私は甲府市内に小さな診療所を設け、外来診察だけでなく
看護師さんや色んな方たちとチームを作り、在宅ホスピスケアの活動をしています。
様々な難しい病気や老衰を迎える高齢の方に対しても活動していますが、
私が担当する約半分はがん患者です。
私はがんの方を診る事が多いので「がん」という言葉を聞いてもあまり驚きません。
「今は色んな積極的治療も増えたし、絶対、道が開けるからね!」と励ましてきました。
「がん」と聞いた患者さんは皆よく「苦しむのではないか?」とか
「家でのた打ち回るのではないか?」という不安に陥ってしまうので、
まずはその点を軽減してあげる事が大切だとイギリスで学びました。
それを私は日本でも実践してきたつもりです。
人には必ず死を通しての別れがあります。
別れがあるとその患者さんの家族は遺族になります。
ご遺族になった後、色んな悲しみや後悔が起きてきます。
その事をも支えるのが、ホスピスケアの仕事の一つだと思ってやってきました。
最近、私の母が亡くなりました。その結果、私も遺族の立場になった訳です。
遺族の立場になった時、がん患者の面倒をみてこられたご家族の
苦労、悲しみは、私の想像より遥かに凄いものだとよくわかりました。
そんな私だからこそ、皆さんにお伝えできる在宅ホスピスケアで学んだ事があります。
終末期を過ごす患者や家族にとって大切なものの一つに「コミュニティ」があります。
それは「みなさんの住んでいる地域」のことですが、
必ずしも大人数のグループでなくて良いのです。
私はコミュニティは二人からで大丈夫だと確信しています。
みなさんの人生のそばにいる人。
その人が実はみなさんのコミュニティの本当に重要な人なのです。
今日は私の経験も踏まえお話したいと思います。