2019年10月27日放送 齋藤孝さん(第2153回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 明治大学文学部教授 齋藤孝
講師紹介
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、
同大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
「声に出して読みたい日本語」ほか、著書多数。
番組で紹介した本
「超速読力」 著:齋藤孝(筑摩書房)第2153回「超速読力」
皆さんは、「本を速く読めたらいいな。」と思う事があると思います。
まず、本の種類を二種類にわけて考えてみましょう。
ひとつは小説。もうひとつは知識系と言われる本、いわゆる新書などです。
私は、小説を早く読むのはあまり意味がないと思っています。
「太宰や漱石の本を五分で読んだ!」というのはいかがなものでしょう。
旅行に例えると、旅先では色々なものをじっくりと味わいたいと思いますよね?
小説を早く読むというのは「ただ、その場所に行っただけ」というのと同じになってしまいます。
一文一文を味わって読む方が大切だと思います。
一方で、知識を得るために読む本というのは早く読めた方がいいと思います。
ゆっくり読んでも頭に残るとは限りません。
では、どうすればその知識系の本を早く読むことができるようになるのでしょうか?
私は大学で、学生に早く本を読めるようになる訓練をさせています。
最初は週に一冊、新書を読むように指導します。
そして慣れてくると週に三冊、五冊とだんだん冊数を増やしていきます。
これが皆、不思議とできるようになります。
他にも、二人一組になって前日読んできた新書をそれぞれ交換してもらう方法があります。
お互いの本に五分間目を通し、内容を要約して本の持ち主に話してもらいます。
当然、自分の持ってきた本の内容はわかっていますが、
相手の本は五分しか目を通していないので要約するのに慌ててしまいます。
ところが慣れてくると、アウトプットして相手に伝えなければならないので、
大事な部分だけに目が行くようになる訳です。
そして、「読む、話す」を繰り返すと本の内容が頭に残ります。
本の内容をアウトプットして相手に伝える事がいかに大変か意識して本を読む習慣が付いてくるのです。
今日は、皆さんが超速読できるようになるヒントをお伝えできればと思います。