2008年1月 5日放送 クミコさん(第1566回)
- 会場
- クリエート浜松(浜松市)
- 講師
- 歌手 クミコ
講師紹介
1982年シャンソニエの老舗「銀巴里」でプロ活動を始める。
2010年「INORI~祈り~」でNHK紅白歌合戦に初出場。
2011年コンサートで訪れた石巻市で東日本大震災に遭遇。
シャンソンに加え、歌謡曲にもアプローチし、精力的に活動中。
第1566回「人生をあきらめない」
私はシャンソン歌手でありながら、今までフランスに行った事がありませんでした。その私が、2007年初頭に、ついにフランスを訪れたのです。それは「シャンソン界最後の巨人」と言われている、シャルル・アズナブールさんへのインタビューのためでした。
アズナブールさんは82歳という年齢を全く感じさせない、とても素敵な方でした。いろいろとインタビューする中で、私は、いわゆる「2007年問題」に揺れる団塊世代のことを思い浮かべ、「定年」「第二の人生」についてどのように考えているか尋ねてみました。
彼は、ダニエル・ダリューさんというフランス人女優を例に、こんな話をしてくれました。彼女は90歳の時に家を建てようと決めたそうです。しかしその家を完成させるまでには20年かかるのだと。そしてこう言いました「人生ってこういうことなんだよ」と。
私は、この言葉にハッとしたんです。彼女は、自分が今90歳で、家が完成する頃には自分が生きているかどうかわからない、ということなど考えていないんですよね。自分が今やりたいと思うことを、その時にやる、ただそれだけなんです。人生を輝かせるものは希望を持てる心だと思います。
私は、今まで、なんとなく60歳を人生のゴールにしていました。年齢を重ねるにつれて毎日焦りを感じはじめ、短距離走者のように全力を振り絞って走っていました。でも、アズナブールさんと出会って、ゴールをずっと先まで伸ばしました。長い道のりだと思うと、焦りを感じず、自分のやりたいことが見えてきたように思います。