2008年9月13日放送 鈴木一光さん(第1602回)
- 会場
- 浜松市立与進中学校(浜松市)
- 講師
- 児童育成協会理事長 鈴木一光
講師紹介
1947年生まれ。明治大学法学部卒業後、
児童指導員として、日本教育開発センターに。
専門は児童福祉、児童館事業。2020年4月より
公益財団法人 児童育成協会の理事長を務める。
第1602回「大人が子どもを見守る意味」
電車に乗ると携帯電話を使うのを控えましょうというのは当たり前のことですが、周りの目を気にせず堂々と大きな声で話している人がいますよね。
携帯電話に限らず世の中のルールを平気で無視する人が年齢に関係なくいますが、ルールを守る人と守らない人の差というのは何でしょうか。
このような習性は幼少期からの生育環境で決まってくるのではないかというのが「ソーシャル・レファレンシング=社会的参照」という概念です。生まれてきたばかりの赤ちゃんは何もわからないので、身近にいるお母さんやその他の大人の反応を見て行動しています。例えば縁側で遊んでいてゴキブリが通ったとします。お母さんがキャーと言って逃げたら赤ちゃんも逃げるし、お母さんが叩いてしまえと言えば赤ちゃんもゴキブリに飛び掛ります。このように、大人は子どもにとっての重要なお手本なのです。
しかし、現代の大人たちは赤ちゃんが遊んでいる横で携帯電話のメールに没頭しているなど子どもを見守るということをしていませんよね。だから、最初から親を信頼することなく自分の好きなように生きるという若者が増えているのです。
小さいときに、子どもを見守り望みを全て叶えてあげるという育て方をすれば、子どもは親を信頼するようになります。そして、そのように育った子どもは、大人になったときに人間同士の関係の中で信頼を築くことができるようになるのです。