2009年1月17日放送 大日向雅美さん(第1618回)
- 会場
- 上島小学校(浜松市)
- 講師
- 恵泉女学園大学学長 大日向雅美
講師紹介
1950年生まれ。
お茶の水女子大学大学院修士課程修了。
2016年、恵泉女学院大学学長に。
専門は発達心理学。
母親の育児ストレスや育児不安を研究。
子育てひろばの施設長も務める。
第1618回「思いやりを育てる」
今日は思いやりを育てる家庭のあり方をお話します。
私は子育てというのは、まず親が自分の子どもの頃を振り返るところから始まるのではないかと思います。私自身振り返ってみると、いわゆる「おばあちゃん子」で常々「かわいい孫がいて幸せだ」と言われて育ちました。かわいい孫というのは私のことなのですが、祖母からたくさんの愛情を注いでもらったなと思います。
子どもを丸ごと愛するということはとても重要なことで、子どもにとって生きるエネルギーになります。そして自分のことを大事にしてくれる人を好きになります。
そのような環境の中でどのように思いやりを育んでいくかということですが、思いやりというのは他者との関係の中で初めて芽生えるものです。つまりベースは「考える力」ということです。この力を育てるにはまず、子どもの興味・疑問に寄り添ってあげてください。一緒に面白がってあげてください。そして急がせないでください。子どもの行動に早さや成果を求めがちですが、ゆっくり待ってあげてほしいのです。
また子どもの失敗を認めるために、自分の失敗を語ってください。よく若いお母さん方に「子どもをどうやって褒めたらいいかわからない」と相談されることがあるのですが、自分の失敗を思い出して語ってあげるだけでいいのです。立派でない親でも子どもはその親を見て自分や他者を受け入れるようになります。どうか家庭が、親が子どもの安全基地であって欲しいと思います。