2009年8月 8日放送 金田一秀穂さん(第1647回)
- 会場
- 中田小学校(静岡市)
- 講師
- 日本語学者・杏林大学外国学部教授 金田一秀穂
講師紹介
1953年東京都生まれ。
東京外国語大学大学院修了。
コロンビア大学などで日本語講師を勤める。
祖父京助氏、父春彦氏も日本語を研究。
第1647回「言葉が豊かな子に育てる」
私達の気持ちは、実は言葉です。
では、その言葉をどこまで表現しているのでしょうか。
たとえば、「うれしい」という言葉があります。
でも世の中にはいろいろな「うれしい」があると思います。
人気俳優のドラマを見る「うれしい」は「おもしろい」と、
友達とカラオケに行く「うれしい」は「楽しい」という表現もできます。
相手に気持ちを伝えるために、言葉はとても大切ですが、
「うれしい」にもいろいろあるように、とても難しいことです。
言葉は考えたり、表現したりする道具です。
その言葉によって伝えるわけですから、言葉が多ければ多いほど、
世の中を正確に見ることができます。
デジカメは画素数が多いほど、社会を正確に写し出しますが言葉も同じです。
言葉が豊富な人ほど、圧倒的に世の中を楽しく感じているはずです。
言葉の多い子どもを育てるにはどうしたらよいのかとよく聞かれますが、
一番重要なのは親の言葉です。親の言葉が多いほど、子どもの言葉も増えるのです。
私達はいつの間にか日本語ができるようになっています。
それは、小さい頃から両親の言葉を聞いて育っているからです。
学校よりも友達よりも、何よりも重要なのは、母親の言葉です。
よく「しっかりしなさい」という言葉を使いませんか。
その時、立ち止まって考えてみましょう。
別の言葉はないのかと。きめが細かければ細かいほど、お子さんの言葉も増えます。