2009年10月10日放送 廣中邦充さん(第1656回)
- 会場
- 菊川文化会館アエル(菊川市)
- 講師
- 浄土宗西居院住職 廣中邦充
講師紹介
1950年愛知県生まれ。
大正大学仏教学部卒業。
90年、父の後を継ぎ、
浄土宗西居院(岡崎市)21代目の住職に。
非行少年や引きこもりの子ども達を
無償でお寺に預かり更生させている。
第1656回「子どもの叫びに気づけ!」
不登校や引きこもりの子ども達と、
私のお寺で共同生活を始めて13年になります。
今まで745人の子どもが卒業し、現在は15人の子どもと一緒に生活をしています。
今年も、いじめが原因で子どもが自殺する悲しい事件がありました。
私は、自分の子どもが自殺するまで気づかない親は親ではないと思っています。
リナちゃんという小学校4年生の女の子がいました。
ネットで調べたらしく、両親に黙って、神奈川県から愛知県にある私のお寺までやって来ました。
医者である両親は飛んで来ましたが、お父さんは怒っているだけで、
リナは帰りたくないと泣き叫んでいました。
結局、リナをしばらく預かる事になり両親は帰りました。
その時に、一つお願いをしました。明日から毎日、リナにファックスを送ること。
それに「リナ、ありがとう」と書いて、両親の名前を添えるようにお願いをしました。
お父さんは、親にこんなに迷惑をかけているのに、何がありがとうだと怒っていました。
それでも、翌日からファックスが来ました。リナにそれを見せると、すぐ気づきました。
お父さんの名前もお母さんが書いているというのです。
私はすぐにお父さんに電話をしました。リナが産まれた時のアルバムを見てほしいと。
宝物を授かって「リナ、ありがとう」と両親で喜びませんでしたか。
その時の原点に戻らないと、リナは返さないと伝えたのです。
次の日に来たファックスには、「リナ、ありがとう。リナ、ありがとう」と紙面いっぱいに書かれ、
名前はそれぞれ直筆でした。リナは涙を流しながら、長い間ファックスを見つめていました。