2010年2月27日放送 鎌田實さん(第1676回)
- 会場
- 牧之原市相良総合センター
- 講師
- 医師・作家 鎌田實
講師紹介
1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。
第1676回「いいかげんがいい」
今日は「いいかげんがいい」
というテーマでお話したいと思います。
日本では、真面目にがんばらないと社会では認められないようです。
そのため疲れている人が多く、8人に1人がうつ病かうつ傾向だと言われています。
肩肘張らず、ちょっと肩の力を抜いた方が、人生いい結果がでると思います。
「いいかげん」は、適当という事でなく「良い加減」です。
私は東京育ちでしたが、医学部卒業後、長野県の小さな潰れそうな病院を選びました。
友人達は、なぜそんな病院へ行くのかと心配してくれました。
でも全員が都会の病院へ行ってしまったら、地方の医療は成り立ちません。
情熱を持って地方へ行く医者がいてもいいと思います。
これも、良い加減の一つだと思っています。
その病院で、私はまず地域へ出向き、お年寄り達の話を聞き、
治療が必要な人には治療をしました。
みんな喜んでくれて、そのうちに地域の人達が病院に戻って来たのです。
今、テレビを見ている人の中には、健康状態が優れず、
うつうつとしている人がいるかもしれません。
健康、そして人間の幸せは波を打っています。
長い間ダメなままかと言うと、決してそんな事はありません。
必ず加減があり、波は上昇します。
その上がっていく時に、人に貢献できたり幸せをつかむ事ができたりするのだと思います。
「いいかげんがいい」というのは、適当でいいという事ではありません。
人が生きていくには、波や加減があるということを覚えておいてください。
そして、がんばり続けないで、たまには休んでください。