◆尾木直樹さん◆
>>尾木直樹さんについて
会場/浜松市立篠原小学校
講師/教育評論家   尾木直樹
第1182回「子育ては地域づくりから」
 先日起きた愛知県の中学生の5000万円恐喝事件を聞いてみなさんはどう感じましたか?私が現場の教師をやっていた頃、恐喝事件で最高額は2500万円でした。
 でも今回とは構造が全く違います。集まるのは一人のところでしたが、被害者はたくさんいました。今回と逆です。いつの時代も恐喝をしてしまう子はいます。でも、今回ほど大きな額にならなかったのは、まわりの大人が気づいて早いうちに対処できたわけです。
  今回も早いうちに気づいたのですが、警察でも学校でもうまく機能 して対処できなかったわけです。
  なぜお金を渡してしまったのか?という非難もあるようですが、私はそれは違うと思っています。わが子が助かるのなら、と必死にお母さんは子どもを守ったんだろうと思います。
  数年前に自殺した大河内清輝くんは100数万円とられ、払うお金がなくなって自殺しました。彼のお父さんがおっしゃっていました。「私はあの子を救えなかった。あのお母さんは5000万円で子どもの生命を救ったんですね」とおっしゃっていました。

  問題はどこにあったのでしょう?
  それぞれに大きな問題があったのでしょう。でも、学校にも警察にもそれなりの事情があったかもしれません。最近、児童相談所にも、お母さん同士などの立ち話で知恵が授けられそうな些細なことで相談にみえる方が多いそうです。そうしたことがたくさん持ち込まれたら、警察も何から対処していいかわからなくなる事情もあるでしょう。

 何も関係がない間柄だと「これはおかしいな」と思ったときに声をかけづらいかもしれません。でも、何かのつながりがあれば声をかけられるでしょう。どんなに教育がわかっている親がいても、学校にどんなすばらしい先生がいても地域がないところには子育てはできないんです。戦後私たちは地域を忘れ、会社に縛られる歩みをしてきたのではないでしょうか。その生き方が今、問われているのではないかと思います。

◆テレビ静岡6月17日放送◆