◆中山靖雄さん◆
>>中山靖夫さんについて
会場/本川根町町民文化会館
講師/伊勢青少年研センター所長 中山靖雄
第1236回「生かされるいのち」

 今ここに起こりし事は総べてみな御親の愛の仕込みなりけり いやでも会わなければならない人はあるんですよね。
  都合のいい出会いもあるけれど、都合の悪い出会いもある、そんな中で人間は少しでもニコニコ生きられるようになるんではないでしょうか。

 沖縄で重度の障害児と健常児との野外キャンプをやっています。
「七夕祭りをやろう、みんなで願いごとを書いてつるそう」と提案し、みんなに短冊を配りました。ヨウコちゃんという17歳の少女はオシメが外せなくて車椅子で参加していました。
  「ヨウコちゃんも何か言って。書かせてもらうよ」と言うと「何もないな」と言います。

  私は「みんなは空を飛んで沖縄に来れたらいいな、とか海をもぐったまま沖縄に来れたらいいなとかできもしないようなことを書くんだから、ヨウコちゃんも歩けるようになったらいいな、とか手が動くようになったらいいなとかなんでもいいじゃない」と言いました。ヨウコちゃんはしばらく目を閉じてじっと考えて「先生ごめん、やっぱりないな」と。横に立っていたお母さんが怒りました。

  「そんなかわいげのない娘に育てた覚えはない。ああなりたい、こうなりたい、あるでしょう。なんで素直に言えないの?」と。彼女は「ないものはない!!」。その瞬間、冷や水をかけられたような気がしました。歩けるようになったら、と書いても歩けるようにはなりません。手が動くようになったら、と書いても手は動かないんです。夕方になってみんなが飾りつけを始めました。するとヨウコちゃんは「どんなことでも書いてくれる?」と願いを言いました。それはまったく予想もしない言葉でした。

(講師紹介) 1940年熊本県生まれ。学習院大学政経学部卒業。文部省所管の社会教育団体である(財)修養団に入団、現在は常務理事をつとめる。 文部省平成12年度社会教育功労賞を受賞。
◆テレビ静岡7月7日放送◆