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私は講演会で全国行きますが、温泉地へ行くと、宿の人たちが勧めますよね。
どうぞ温泉へ、と。
最初は嘘を言って断っていましたが、だんだんそうしている自分が虚しくなり、本当のことを話すようになりました。
でもそうするとかえって気を遣わせてしまうんですよね。
ある日、私の美術館にやってきた女性が私の耳元に「先生、温泉に入れますか?」と尋ねてきました。
その瞬間、絶句してしまいました。いろんなことを克服してきた私ですが、唯一できなかったことは、温泉に入ること。自分の中で隠そう、隠そうとしてきたことだったのです。
そこで「もし同じ病気の人同士で手をつないで1・2の3で入ったら入れる?」と尋ねたら、「私、温泉に入りたいです」と言うのです。そこで、インターネットを使って会員を募集し、「1・2の3で温泉に入る会」を立ち上げ、昨年秋に第一回を開きました。50人そろってジャボーンっと温泉に入ったのです。
25年間ぶりに温泉に入った、という人もいました。これまでは身体を隠すようにこそこそ入っていた、という人も。みんないろんな悩みを抱えていたのです。
温泉を入る、ということをきっかけにみんなで悩みを話し合い、前向きに明るく生きていけるようになるといいなと思っているのです。
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