| 僕は1980年に「黄色い牙」という作品を書いて直木賞をいただきました。
この作品を書いている時は、自分の中からこみ上げてくる想いを胸が躍るような気持ちで書いていました。しかし、作家生活を送っているうちにあの時のように胸が躍るようなことが少なくなってきたんです。そこで僕は、これからは売れ行きや出版社に左右されることなく自分の書きたいものを思う存分書こうと自ら出版社を立ち上げました。そのPRの為に全国各地の書店へ出向いた時のことです。僕のサイン会があると聞きつけた近所の人たちが大勢集まっていました。でもどこのサイン会場へ行っても集まってきた人たちの中に子どもがいました。僕の中に読み聞かせでもやろうかなという思いが沸いてきました。
そんな思いを抱いてから1年後、僕は書店で読み聞かせをしました。
読み聞かせを始めると、大勢の子どもたちでガヤガヤとしていた会場が一気に静まり返ったんです。一瞬にして物語の世界に入っていったんですね。
子どもたちだけではありませんでした。一緒に聞いていた大人にも変化があったんです。
きょうは、みなさんにも僕の書いた絵本の読み聞かせを聞いてもらおうと思います。
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