学校が終わったら母のところに行っていろんな話をするんです。
そうすると母は、何を聞いても「すごいね!」と一生懸命僕の話を聴いてくれました。
僕もそう言って欲しくてたくさん話をしました。
誰かに認めてもらったり理解してもらったりするのは、やはり嬉しいことなんですね。
逆に、僕は父親とはずいぶん葛藤がありました。
とても厳しい人だったんです。父親の事をまるごと理解するのに何十年もかかりました。
同じ屋根の下に暮らしていれば、必ず親子や夫婦というのは分かり合えると思い込んでしまうと思います。でも実は、そう簡単なものではなくてそれぞれ別々の人間が理解し合うにはそれぞれに努力や時間が必要なのではないかと思います。
僕の父には夢がありました。
貧乏な家でしたが、父はなんとかお金を貯めて僕の母親の病気治そうとしていたんです。
一日に15時間以上も働いて夜遅く帰ってくる父がいつも食事を作ってくれました。
父親が必死に生きているのも分かったし、母が必死に病気と戦っているのも分かっていました。
そして、父の夢は叶うんです。
母は手術を受けて元気になりました。
僕はこんな風には人を助けるようになりたいと思って医科大学に進学を希望しました。
ところが、父は大学なんて行かなくていいと言うんです。
うちの家計では母を支えるので精一杯だと。できれば働いて欲しいと言われました。
その時僕は父は僕のことを何も理解していないんだと思いました。
実は、僕の父親は本当の父親ではなかったのです。
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