テレビ寺子屋

高橋章子さん
>>高橋章子さんについて

会場/伊豆市土肥総合会館

講師/エッセイスト 高橋 章子

第1398回「『ビックリハウス』が残したもの」

1+1=2。
でも、もしかしたら、1+1=3かもしれないということを楽しむ雑誌が「ビックリハウス」です。

私は最初、アルバイトでこの雑誌に関わりました。
読者の投稿作品を選ぶ作業をしていました。そのうちに、初代編集長が他の本を作るためにビックリハウスの2代目編集長を探しはじめたのです。少人数で作っていた雑誌でしたから、人がいなくて私が突然編集長になってしまったんです。

その時私は23歳くらいでした。
23歳の女の子で編集長になることは当時では異例で、随分と叩かれました。
なりたくない編集長になって、なぜ文句を言われなければならないのかと初代編集長に言うと、
「誰もあんたになんか期待してないよ」と鼻で笑われてしまいました。
これは目からうろこでした。
私は自分が編集長になったときに、批判を受けちゃいけないとか、ほめられたいとか、
部数を伸ばしたいとか、そんなことに惑わされて、自意識過剰だったんだと思いました。

私がやれるものだったらいいじゃないか。
これ以上でもなければ、これ以下でもない、私というものを作ればいいじゃないかと考えたのです。
そして代打がいない「私」という編集長になろうと思いました。

あの時気が付いてよかったですよ。見栄を張って生きていると、見えるものも見えなく、
味わえるものも味わえなくなってしまいますからね。

講師紹介
昭和27年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。
70〜80年代に時代をリードした投稿雑誌「ビックリハウス」の編集に参加。
昭和52年、24歳で編集長に就任し、昭和60年の終刊号まで務める。
現在は、テレビ・雑誌のコメンテーター、講演、パネリストなど多方面で活躍中。

◆テレビ静岡9月4日放送◆