テレビ寺子屋

俵 萠子さん
>>俵 萠子さんについて

会場/常葉学園

講師/評論家・陶芸家 俵 萠子

第1403回「母さんと小さく呼んでみる」

父親と娘の間には異性間のやさしさや甘さがあります。
私は父が大好きでした。

でも、母は?と聞かれたら一筋縄で大好きとかいう答えは出てこなかったんです。しいて言うなら、母親と娘という同姓の親子関係というのは究極的なライバルなのかもしれません。ところが、今から一年半前に母が亡くなりました。最近、本を書きながら気がついたことがありあます。
私は今まで「この本を書き終わったら第一番に母さんに届けよう。」そう思いながらを
本を書いていたのです。今まで全く気がつきませんでした。あたりまえだと思っていたのでしょう。ところが母がいない今となっては、書いても届ける人がいません。そう思った時、なんともいえない寂しさがこみ上げてきまして。
母は無条件で私を受け入れてくれる人だったんだと初めて気が付いたのです。
母は、どんな内容でも、「萠子よく書いたね」言ってくれました。その一言だけが私は聞きたくて今まで六十冊以上も本を書いてきたのかもしれません。決して大好きという感じではなかったのに失ってしまうとわかる、恋しさ。知らないうちに「母さん」と心の中で呼んでいる自分がいます。
その気持ちを色紙に記してみました。「母さんと小さく呼んでみる」

講師紹介
1930年大阪生まれ。大阪外国語大学仏語学科卒業。新聞記者として活躍後、女性・家庭・教育問題を中心に評論家として活動。1981〜1985年、日本初の準公選で東京都中野区教育委員を務めた。群馬県赤城山に「萠子窯」を設立、陶芸塾を主宰。「俵萠子美術館」館長。

◆テレビ静岡10月9日放送◆