テレビ寺子屋

鎌田 實さん
>>鎌田 實さんについて

会場/沼津市金岡地区センター

講師/内科医師 鎌田 實

第1431回「良医にめぐりあうための10箇条」

春の桜の季節、ある末期がんの患者さんが「僕は来年の今頃、桜が咲く時には生きていないだろうな…」とつぶやきました。

そのとき同じ部屋の別の患者さんを診ていた若い看護士にその言葉が聞こえたんです。
プロとして元気付けてあげたいと思ったにもかかわらず、いい言葉が見つかりません。
先輩看護士に相談した結果、ベットのまま車に乗せて桜見物に行くことにしました。
その桜見物から戻ってきた患者さんはこう言いました。

「僕は花見がしたかったわけでも、桜が見たかったわけでもない。
でもすごく嬉しかったよ。
あの僕の言葉は、僕自身に言い聞かせたものなんだ。
だから看護士さんは僕の言葉を聞き流したって構わなかった。
なのに僕の言葉をちゃんと受け止めてくれて考えてくれたことが嬉しい。」

そうなんです。自分の言葉を聴いてもらえるということはとても大切です。
それだけで大きな力になります。
そのためには患者さんが話しやすい空気というのが必要ですよね。

病院で診察を受ける時、「本当は他にも話したいことがあるのに…もっと質問したいんだけど…」
そう思っている方、意外と多いんじゃないでしょうか。
よく説明してくれる医者が良い医者だと、私たちはついつい思いがちです。
もちろんこれもすごく大事なことなんですけど、それ以上に話しやすい空気を持っている
「聞き上手なお医者さん」だということも重要なのです。

☆講師紹介
1948年、東京都生まれ。
1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。長野県の諏訪中央病院にて地域医療に携わる。
1988年、諏訪中央病院院長就任。現在は同院長を退き、管理者。
チェルノブイリの救援活動にも参加。
★番組の中で紹介した本
「病院なんか嫌いだ - 「良医」にめぐりあうための10箇条」
著:鎌田 實 / 集英社新書(693円)

◆テレビ静岡4月30日放送◆