テレビ寺子屋

玉村豊男さん
玉村豊男さんについて

会場/焼津市立和田小学校

講師/エッセイスト・画家 玉村豊男

第1459回「食卓は学校」

ぼくは、兄貴たちとは年の離れた末っ子でした。
台所にいる母にまとわりついて「ご飯まだ?」なんていうと「じゃあ、豆の皮を剥いて」とか「庭の畑からみょうがを取ってきて」と言われてちょっとしたお手伝いをしたものです。

ぼくが自分で料理をし始めたのは大学に入ってからですが、小さい頃から料理をする母親の姿を見て育ちました。昔は、父親が出張でいない時などは、必ず陰膳をスえて一緒に食事をするという意識を持っていました。それが家族の絆であるという日本の家庭のあり方だったのです。「ご飯ですよ!」と呼ばれるとみんなが炊きたての温かいご飯のところに集まって来ました。昔のお米は、温かくないとおいしくなかったんです。今のように電子レンジや保温ジャーなどがありませんでしたので、炊きたてのご飯を逃すと冷たくおいしくないご飯を食べなくてはなりませんでした。

日本人は、ネバネバと粘着力のあるお米の炊き方が好きです。世界中にお米を食べる文化はたくさんありますが、粘りのあるご飯を好むのは日本人だけです。実は、日本人が粘着力のあるお米を好んだからこそ、家族が一緒にくっついていられる事ができたのです。パンの食文化では、ずっと昔に家庭はバラバラになってしまっていました。

きょうは、世界の食卓と日本の食卓のお話をしたいと思います。

☆講師紹介
1945年東京都生まれ。東京大学卒業。通訳、翻訳業を経て文筆業へ。
旅や食など幅広い分野で活躍。1991年長野県移住。
2004年からは自園自醸のワイナリーやカフェなどを併設した
「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」を開く。

◆テレビ静岡11月12日放送◆