テレビ寺子屋

野口 健さん
野口 健さんについて

講師/アルピニスト 野口 健

第1509回「環境学校と子どもたち」

エベレストは世界のいろいろな登山隊が行って、そこに様々なメディアがついて行くので、過去にテレビなどで紹介されています。

映像で見るエベレストは、非常にキレイなんです。
そういうものをイメージして行ったら、そこにゴミがあった。映像で見たものと違ったんです。し
かも、そのゴミの中に日本語が書かれたゴミもありました。
非常にショックだったのですが、そこで言われたのが「日本人はヒマラヤをMt.フジにするのか」ということだったんです。最初は意味がわからなくて、彼らに聞いてみると、富士山は世界で最も汚い、と言うのです。

私は当時、富士山は冬にしか登ったことがなくて、一面雪と氷に覆われていて人も少なく、キレイでした。ところが、夏に行ってみると、人が多くて人工的でビックリしました。また、麓に下りてみると、樹海の中に車や医療廃棄物など不法投棄されたゴミがたくさんあったのです。
世界中の山に登りましたが、国立公園で、その国を代表する山にゴミが捨ててある、そんなところを見たことがありません。これは、日本の登山家のモラルの問題というより、日本の社会の縮図ではないかと、そんな気がしています。

「野口健環境学校」は富士山をはじめ、尾瀬や小笠原、佐渡など全国7ヶ所で行っています。
大事なことは、私が教えるというより、子供たちが現場に行ってどう思うかということです。
大人は理屈で考えるからダメなんですね。
その点、子供たちは、この自然の中に何でゴミがあるんだ、と感性で感じるんです。
そして、行動に移す。ですから、大人の社会を変えるには、子供から変えていった方がいいのでは、とも思います。

私自身、エベレストに行って、ゴミがあるという現実を見たからこそ、このような活動を行っています。写真やテレビで見ただけなら、ここまでやっていないでしょう。ですから、子供たちにも現場に行って、自然を楽しんでもらって、守りたいなと思ってくれればいい、「環境学校」はそのきっかけになればと思います。

☆講師紹介
1973年、アメリカ生まれ。
16歳で登山を始め、99年、世界七大陸の最高峰を最年少(当時)で登頂。
エベレストや富士山の清掃登山など、環境問題にも取り組んでいる。

◆テレビ静岡11月11日放送◆