テレビ寺子屋

ピーター・フランクルさん
ピーター・フランクルさんについて

会場/大井川町多目的ホール「リバカル」(大井川町)

講師/数学者・大道芸人 ピーター・フランクル

第1532回「過程を楽しむ人生」

僕が日本にやってきて一番ビックリしたのは、日本人の学力の高さでした。数学をやってきて世界各地でいろいろな人と話しをしましたが、数学に対する反応は悪かったです。数学者であると話しをするだけで顔をそむけたり、数学なんて大嫌いと言われることもありました。でも、日本では違いました。僕が数学者であると話すと、頭いいですね、と尊敬の眼差しで見られました。

最近、日本では学力低下が問題になっています。確かにそれは事実ですが、もともと日本は学力が高かったので、低下したといってもまだ世界の中では高い方です。数学に限らず他の科目でも知識レベルは高いと思います。でも、ひとつ気になることがあります。それは、日本人は勉強が嫌いなことです。

それに関連してお話ししたいのが、過程と結果、ということです。日本人は結果としてかなり高い学力を持っています。それなりの結果を出しています。でも、その過程である勉強はほとんどの学生が嫌いだと言います。

ではなぜ勉強が嫌いになるのでしょうか。それはおそらく、過程ではなく結果を重んじるからではないでしょうか。テストで良い点数を取りたいとか、良い学校に入りたいから塾に通うなど、勉強はある目標を達成するための手段になっているんです。これは僕の中ではすごく矛盾しています。

僕の趣味は何かと聞かれると、答えは勉強です。勉強はとてつもなく楽しいことなのです。これには父親の影響が多分にあります。僕が中学生くらいのとき、一番カッコイイと思ったのは、父親でした。見た目のことではなく、知識の格好良さです。学問や医学のこと、天文学や生物学、僕がどんなことを聞いてもおおよそ答えてくれました。しかも子どもの僕にもわかるように。そして、時々、わからないことがあると、一緒に図書館に行って本や資料を探してくれました。そんなときの父が非常に楽しそうに見えたのです。学ぶことがいかに楽しいか、僕は父親をみて覚えました。これは今でも僕にとって大切な宝物になっています。

好きこそものの上手なれという言葉があるように、勉強する過程を好きになれば上達するのも早いと思います。

☆講師紹介
1953年ハンガリー生まれ。
1971年、国際数学オリンピックで金メダルを獲得。
1977年オトヴォス大学大学院修了、博士号を取得。
1979年フランスに亡命し、1988年以降日本在住。
12ヶ国語を話し、80ヶ国以上を訪れる。大道芸人としても活躍。

◆テレビ静岡4月28日放送◆