テレビ寺子屋

鈴木一光さん
鈴木一光さんについて

会場/さくら台幼稚園(富士川町)

講師/児童健全育成推進財団 常務理事 鈴木一光

第1538回「自立する心を育てる」

子どもを育てるということは、社会性を含めて社会的人格に力点を置いていかないといけません。例えば、絵が上手いとかピアノが弾けるということだけに集中していくと、それでうまくいく人は一握りだけです。ですから、自分の子どもは挫折したら困りますから、もうちょっと違った、大らかな視点で育てるという考え方も大事だと思います。

ひょんなことから幼稚園の理事長を務めることになりまして、月に一回、教育相談ということでお母さんたちの相談に乗っています。7、8割は愚痴を聞いているだけですけど、今の状況がよくわかって、みなさん苦労されているんだなあと、大変参考になります。基本的に人間は頼れる人、安心してしゃべれる人を作っておいた方がいいんです。

福祉の世界で自立というのは、自分が苦しいときや出来ないことは人に任せられることを言うんです。ですから、子育てでも何かあったら、友達や先生に「助けて」や「面倒みてね」と言えることが自立なんです。人間は一人では生きられないことを前提にゆるやかに見守った方がいいと思います。そして、子どもから何か言われたときに、答えを出そうとして屁理屈で押さえ込もうとすると信頼をなくします。その裏にある子どもの悩みや気持ちを汲み取っていくことが大切です。

子どもの気持ちを理解するために大事なことは情緒の共有です。情緒、つまり感情を共有してもらえると、人間は豊かな気持ちになります。子育てでも、例えば兄弟喧嘩をしたときに神様的な裁決をするのではなくて、悔しい気持ちを共有してあげることです。

情緒を共有してあげると、自分の気持ちをわかってくれたということで、子どもは安心し、心が安定します。すると今度は自立心が出てきます。そして自立すると、次に適応力ができて、場の雰囲気を読めるようになり、「知」に至り、物事をもっと知りたいと思うようになって勉強をするようになります。

このように進んでいくことで気持ちが安定するようになりますから、逆に、学校の勉強ばかりを注意して、情緒の共有を無視していくと、子どもは失敗したときに倒れやすい、不安定な人生になっていくのです。

☆講師紹介
1947年生まれ。明治大学卒業。
日本教育開発センターでの児童指導員の経験を生かし、現在児童福祉分野で幅広く活動中。
教育現場だけではなく、映画や芝居など娯楽を通しての子育て法を紹介している。

◆テレビ静岡6月9日放送◆