| ひょんなことから幼稚園の理事長を務めることになりまして、月に一回、教育相談ということでお母さんたちの相談に乗っています。7、8割は愚痴を聞いているだけですけど、今の状況がよくわかって、みなさん苦労されているんだなあと、大変参考になります。基本的に人間は頼れる人、安心してしゃべれる人を作っておいた方がいいんです。
福祉の世界で自立というのは、自分が苦しいときや出来ないことは人に任せられることを言うんです。ですから、子育てでも何かあったら、友達や先生に「助けて」や「面倒みてね」と言えることが自立なんです。人間は一人では生きられないことを前提にゆるやかに見守った方がいいと思います。そして、子どもから何か言われたときに、答えを出そうとして屁理屈で押さえ込もうとすると信頼をなくします。その裏にある子どもの悩みや気持ちを汲み取っていくことが大切です。
子どもの気持ちを理解するために大事なことは情緒の共有です。情緒、つまり感情を共有してもらえると、人間は豊かな気持ちになります。子育てでも、例えば兄弟喧嘩をしたときに神様的な裁決をするのではなくて、悔しい気持ちを共有してあげることです。
情緒を共有してあげると、自分の気持ちをわかってくれたということで、子どもは安心し、心が安定します。すると今度は自立心が出てきます。そして自立すると、次に適応力ができて、場の雰囲気を読めるようになり、「知」に至り、物事をもっと知りたいと思うようになって勉強をするようになります。
このように進んでいくことで気持ちが安定するようになりますから、逆に、学校の勉強ばかりを注意して、情緒の共有を無視していくと、子どもは失敗したときに倒れやすい、不安定な人生になっていくのです。
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