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私は、13人家族の一番末の子で、曽祖父母は江戸生まれ、祖父母は明治生まれです。ですから、私は変に古いことやことわざなどを知っていました。というのも、必ず13人家族みんなでちゃぶ台を囲んで食事をし、その中でふっと年寄りが言ったことを覚えていたんですね。しかも、何度も同じ話しを聞かされました。でも、もしかしたら祖父たちは、この話はいい話だから何度も聞かせて覚えてもらおうとして同じことを言うんだと思いました。
13人で食事していて、いろいろな話が飛び交っている中で、祖父が必ず「人っていう字はな…」とはじめます。「どっちのつっかえ棒をとっても倒れちまう。世の中お互い様だよ」ここで終わる短い話ですが、食卓で身についたものの一つです。
また食事しながらでも、食事のマナーと同時に人に気を使わないとみっともないということも習いました。例えば「傘かしげさえできないのは女の子として恥ずかしいよ」というのが祖母の口癖でした。「傘かしげ」は江戸しぐさの言葉です。狭い道で傘を差してすれ違うとき、お互い傘がぶつからないように、しかもとがった方を相手に向けないで少し傘をかしげることです。小さいころは言葉の意味はわかりませんでしたが、今でもしっかり覚えている言葉です。
そして、毎日の出てきたおかずを見ても、今冬だから白菜なんだとか、古く深漬けになったものは甘辛く炒めるとおいしいんだということを、こうするのよとか覚えておきなさいとか言われるわけではないですが、知らない間に毎日の生活でちゃんと教育されていました。それが先輩である大人が、後輩である子供にする本当の教育だと思います。
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