今年のサッカー本大賞で“大賞”を受賞した作品を読みました。
中村慎太郎さんの「サポーターをめぐる冒険」です。
89日間のサッカー観戦記録、特に各クラブのサポーターを見つめた作品でした。
これは、サッカー中継に携わる自分にとって勉強になるものでした。
“サポーター”とは・・・。
『ゴール裏は一般的には見づらいとされているが、
色の動き、攻守のダイナミズムが感覚的に分かる』
『サポーターは、スポーツ観戦とは違う。
サッカー選手になって一緒にゴールを目指す感覚』 (抜粋)
普段、中継では横位置からゲームを見ていますが、
“縦で見る感覚”も同時に必要か
もしれません。横以上に縦で感じるダイナミックな展開を言葉に置き換える。
時に、サッカー選手になったサポーターと同じような“熱”をどう実況に活かすか、
研究してみたいと考えています。
『応援する選手が代表などで活躍すると、それは悲しい別れの予感。
海外へ移籍してしまうことへと繋がる』 (抜粋)
エスパルスでは大前選手がドイツへ移籍してしまった時のように、
代表やJリーグでの活躍はサポーターに
とって至福の時ですが、同時に、ステップアップとして新天地への活躍の場が広がる
可能性でもあります。
ですから、活躍の一方で、クラブから離れてしまう=一抹の寂しさ という側面も心に留めながら、
選手の活躍を見つめて行かなければなりません。
とはいえ、サッカー観戦は何通りもあります。
熱狂的な応援! 分析しながら観戦! 好きな選手だけを見る!
選手は分からなくてもサッカーが好き・・・。
ですから、サッカー中継は、情熱だけでなく、冷静さが必要かもしれません。
ただ、その中にも、やはり「サポーターの心理」というものを大切にしながら
今後もより良い中継を研究していきたいと考えています。