静岡県でクマの目撃情報が3倍に急増 そのワケは“木の病気”か

2022年01月14日(金)

地域

静岡県内のクマの目撃情報は2年前に比べ3倍に増えた。11月には富士山麓のニワトリ小屋で飼育していた35羽すべてが食べられる被害があった。なぜクマは人里近くまで下りてくるようになったのだろうか。

◆遭遇男性が語る恐怖「命がなくなるような感じ」

小屋の柵を乗り越える1頭のクマ。

2021年11月、富士宮市人穴のニワトリ小屋にクマが現れた。3日にわたって出没し小屋で飼育していたウコッケイ35羽すべてが食べられた。

被害にあった仁藤光晴さん:
駐在さんが小屋をのぞいたらバーンと(クマが)扉を開けて出てきた。僕はこちらに、駐在さんは向こうに逃げた。クマは駐在さんの方を10mほど追っかけて、次はイヌと格闘するような感じで柵を登って私の方に来た。私は裏を回って逃げた。怖いですよ、命がなくなるような感じ

鶏舎所有者の仁藤さんはクマと遭遇したものの、間一髪のところで難を逃れた。

西富士山麓猟友会 藤浪庸一会長:
フェンスがたるんでいるところから(クマが)出入りしたと思う

被害にあった小屋は富士山の山頂から12kmほど離れていて、猟友会によると3日間とも同じツキノワグマが現れたとみられる。2つのワナを設置したが、捕獲できなかった。

◆2カ月前にも近くで子グマ捕獲 県内で目撃急増

2021年は静岡県でクマの目撃情報が大幅に増加した。県によると、2019年度は22件だったが2020年度は41件、さらに2021年度は11月までで72件と2年前の3倍だ。

5月に富士市や富士宮市の住宅地で目撃されたほか、10月には小山町で人が襲われる被害があった。

池田孝記者:
ウコッケイの被害が出た2カ月前には、こちらの林でクマがシカ用のワナにかかっていたということです

2021年9月、ウコッケイの被害が出た場所から約2kmの林でクマが捕獲された。

西富士山麓猟友会・酒井朝雄さん:
(シカ用の)ワナの見回りで車からのぞいたら、黒い耳が2つ見えクマだと思った。(この木は)クマのかじった跡で、登って皮をむいてすごい。人間ではこんなことはできない

近くの木には皮をむしった跡が残っていた。捕獲されたクマは体重30kgほどの子グマだったが、強い力があることがわかる。

猟友会・酒井さん:
近くには家が3軒、もう少し行けば大勢の人が来る場所もある。私は70歳ほどで地元の人間だがクマを見たのは初めて。2カ月後の11月には下の方でウコッケイの鶏舎が襲われた。クマが(山から)下がってきたという感じ、山にエサがないのかな

猟友会が指摘するエサ不足。なぜ山にエサが少なくなったのだろうか。

◆山でエサが不足 「ナラ枯れ」が原因か

クマの生態や野生動物に詳しい県自然保護課の担当者は、「ナラ枯れ」を指摘する。

県自然保護課鳥獣捕獲管理班・大橋正孝班長:
県内でもナラ枯れが増えてきた。ナラ枯れはドングリがなるようなナラ類のコナラやミズナラが枯れてしまう木の病気で、エサが不足する。クマは木の上のドングリを食べるので

ナラ枯れは病害虫が木に入り込み病原菌の「ナラ菌」を増殖させることで、水を吸い上げる機能を阻害する木の伝染病だ。

富士山麓の朝霧高原でもナラ枯れが進んでいて、朽ちた木が倒れている様子が確認できた。

猟友会・藤浪会長:
(取材場所の木が)倒れているのは、みんなナラ枯れ

◆出没増加の原因は人間側にも

さらに県の担当者はクマが出没する理由として、エサ不足だけでなく耕作放棄地の増加や生活様式の変化を指摘する。

県自然保護課・大橋班長: 
耕作地が放棄されてしまうと、クマに限らず動物にとってはエサ場になってしまう。カキやクリがなりっ放しで収穫されないとクマのエサ場になる。(耕作放棄地を)守る人もいない

まずはクマに関心を持つことが必要だという。

県自然保護課・大橋班長: 
動物を里に寄せてしまうものを除去する。みんなで動物を追い払うではないが、もう少し関心を持ち緊張関係を保つ努力を地道にやっていくことが必要だ

被害を防ぐためにクマが出没するおそれがあることを自覚し、家に近づけさせないよう備えておくことが大切だ。

山間部の家では周囲に残飯を放置しないよう気をつけたり、鈴やラジオで人間の存在をクマに伝えるとよいそうだ。

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