きかんしゃトーマス号の鉄道会社が外国人ツアーガイド育成 静岡県を素通りしないで 

2022年08月17日(水)

地域

「きかんしゃトーマス」号で売り上げを回復させた静岡県の大井川鉄道が、新型コロナウイルスの感染収束を見すえ新たな戦略に乗り出した。外国人のツアーガイドの養成だ。コロナ前に大勢の中国人観光客が静岡空港から入国したものの、静岡県を素通りしてしまった苦い経験を踏まえてのことだ。

◆売りは「きかんしゃトーマス」

トーマス号の前で写真撮影をする人たち
「イー、アル、サン、スー!(1,2,3,4)」

「きかんしゃトーマス」号で知られる大井川鉄道。

2022年6月、中国や台湾出身の5人が集まった。5人は大井川鉄道グループが養成を始めた外国人ツアーガイドの研修生たちだ。

研修生:
最初は高校の時に日本のアニメが好きで、それがきっかけで日本語の勉強を始めて日本に留学に来ました

別の研修生:
学生時代にアルバイトで中国でガイドをしたことあります。日本に来て10年くらいたって、せっかくこういうチャンスがありますから学生時代の夢をかなえたい

◆静岡空港には降り立つけれど…

大井川鉄道の新金谷駅から車で20分ほどの場所にある富士山静岡空港。

2015年頃には中国人観光客の急増で、中国の10都市以上と結ぶ国際線が運航されていた。こうした中国人観光客はほとんどが東京・京都・熱海などへ向かい、空港がある県中部で足を止めることはあまりなかった。
 
大井川鉄道・鈴木肇社長:
静岡県にも良いところはあるのですけど、静岡県のいろいろな地域が最初から目的地になることはなかなかないんです。静岡空港に降り立っても、だいたい他県に出て行ってしまうので。もっと良さを知って頂いて、ダイレクトに誘致する仕組みづくりをしたい

外国人観光客に、大井川鉄道はもちろん県中部を訪れてもらうために、魅力を現地の言葉で伝えるツアーガイドの養成が急務と考えた。

◆狙いは個人客 丁寧な案内ができるガイド養成

研修日当日、バスの中で自己紹介が行われた。

研修生 「皆さん、おはようございます。今は静岡大学の3年生です」

別の研修生 「中国にいた時も旅行がすごく好きで、今年は静岡に来たのでこのような機会があれば楽しいと思います。きょう一日よろしくお願いします」

ツアーガイドには20人以上の応募があり、2022年3月から研修が始まっている。

これまでにも人工の波を作り出すことができる牧之原市の静波サーフスタジアムや静岡空港などをめぐり、研修が行われた。

アフターコロナを見すえ団体のツアー客ではなく個人客を重視し、丁寧な案内ができるガイドの養成を目指している

大井川鉄道・鈴木肇社長:
国内で主流になっていた団体のツアーや一般の会社の旅行というのが激減しましたので、他の切り口というか、形態の変わった個人旅行に重点を置いて活動していく必要がある

◆留学生など5人が魅力を体験

研修生は観光の見どころを教えてもらった。

大井川鉄道の研修担当者 「トーマス号は蒸気を利用して走ります。今はフタはしまっていますが、中で燃料を燃やして走ります」

「きかんしゃトーマス」号に乗り込んだ研修生たちは、大井川鉄道の観光名所の1つである奥大井湖上駅を訪れた。

今回、息子とともに参加した中国出身のシュウ ケイさんは、日本の魅力は自然環境の美しさだと話す。

研修生・シュウ ケイさん 「中国と日本は似てるところが多いです。日本に来てもそんなに違和感がない。環境がいいですよね、自然の風景がいっぱいありますし」

その後、研修生たちは寸又峡温泉を訪れ土産物店などをまわり、温泉街の雰囲気を感じ取っていた。

研修生に説明するガイド 「日帰り温泉でハイキングしてお風呂に入って帰る。海外の方も、汗をかいてお風呂に入って帰る人がいるかもしれない」

旅行が好きな留学生のエン ジブンさんは、県内に住み始めて3年ほどが経った。
 
エン ジブンさん:
中国国内の人も静岡県を知ってる人はそんなに多くないと思う。私は静岡県で2~3年住み静岡を好きになったので、中国の方に「静岡はいい場所」と伝えたい

◆SNSでの情報発信にも期待

さらに、こうした外国人ツアーガイドがSNSを通じて同じ母国の人たちに静岡県の情報をPRしてくれることを、大井川鉄道は期待している。

大鉄アドバンス インバウンド室・孫 江明室長:
なかなかコロナで海外から日本にまだ来られる状況じゃないんですけど、(研修生に)写真や動画を撮って海外に情報発信してもらい、よりたくさん海外の方々に静岡県のことを知って頂く大きな機会になると思っています

研修は2022年秋までにあわせて14回おこなう予定だ。外国人のツアーガイドは3年から5年かけて15人ほど育てていく予定だ。

トーマス号で売り上げを回復させた大井川鉄道。コロナ後を見すえた新たな取り組みが注目される。

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