「嘆きの中に怒りや悔しさが埋もれてしまっている」旧天竜林業高校の贈収賄事件 最高裁は再審認めず

2023年03月09日(木)

地域

旧天竜林業高校(浜松市天竜区)の成績改ざんをめぐる贈収賄事件で、元校長が求めていた裁判のやり直し 再審について、最高裁は認めない判断を下しました。元校長は再び再審を請求する方針です。

旧天竜林業高校の北川好伸元 校長は、中谷良作 元天竜市長の孫の成績を改ざんした見返りに、現金20万円を受け取った加重収賄などの罪で、2010年 執行猶予付きの有罪判決が確定しました。

無罪を主張してきた元校長は2014年に裁判のやりなおし再審を請求しましたが、地裁浜松支部と東京高裁で請求が退けられ、最高裁へ特別抗告していました。

そして最高裁は「単なる法令違反、事実誤認の主張で抗告理由には当たらない」として、再審を認めない判断を下しました。

旧天竜林業高校・北川 好伸 元校長 「我が国の司法、裁判所のありようを嘆くと言いましょうか、憂うと言いましょうか、そういう嘆きの中に怒りや悔しさが埋もれてしまっている」

またこの事件をめぐり2022年に検察側が中谷元市長に対する警察の取り調べメモなど新たな証拠を開示しましたが、弁護団は「(最高裁は)全く検討していない」と批判しました。

弁護団・海渡 雄一 弁護士 「こういう再審事件の当事者は命がけでやっている。そして新しく埋もれていた証拠がこれだけ出てきた。それについてなんの判断も示すことなく事件を終わらせてしまうというのは、裁判所としてはやってはいけないこと」

そして9日の会議で、北川元校長と弁護団は再び再審を請求する方針を固めたということです。

【解説】
この事件は旧天竜林業高校の北川元校長が、中谷元天竜市長の孫を大学に進学させるため成績を改ざんし見返りに、元市長から20万円を受け取ったというものです。

元校長は2008年に加重収賄などの疑いで逮捕され無罪を主張してきましたが、2010年に最高裁で執行猶予付きの有罪判決が確定しました。

こうした中、2011年 贈賄の罪で略式命令を受けた中谷元市長が「お金を渡していない自白は虚偽だった」と、証言をひるがえしました。

元市長は虚偽の自白をした理由について、当時 次のように述べていました。

中谷 良作 元天竜市長 「(警察の取り調べで)『あんたが強情をはると、孫や息子に聞かないといけなくなる。孫や息子が坂を転げ落ちてもいいのか?』などと言われ続けました。私は自分が頼んだと言いさえすれば、家族に迷惑がかからないと思うようになってしまいました」

北川元校長は2014年 この元市長の証言を判決を覆す新たな証拠として、地裁浜松支部に裁判のやり直し、再審を請求しました。

しかし2016年 地裁浜松支部はこれを認めず請求を棄却。

元校長は抗告したものの、東京高裁も棄却。

取り調べのメモなど新たに証拠も開示されましたが、最高裁も「本件抗告の趣意は、憲法違反、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張で、刑事訴訟法の抗告理由に当たらない」と、請求を棄却する決定を下しました。

北川元校長や弁護団は決定を不服として、再び再審請求をおこなう方針を固め、再審を求める動きはこれからも続いていく見通しです。

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