【清水エスパルス】J1昇格の絶対目標に向けラストスパートへ ホームに迎え撃つは3位の長崎 前期は苦杯

2024年09月07日(土)

地域芸能・スポーツ

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督

台風10号の影響で第29節の徳島戦が中止・順延となり、この間、横浜FCが勝利したことで暫定ながら2位へと順位を下げた清水エスパルス。次の第30節はホーム・IAIスタジアムで3位につける長崎を迎え撃つ。

守備と攻撃がかみ合うエスパルス

エスパルスが前半戦で今季唯一4失点を喫した相手、それが長崎だ。

現在、エスパルスとの勝ち点差は8で、勝てばその差を一気に広げることが出来る一方、負ければ差はグッと縮まる。

その意味で、今季まだ負けのないホームでの一戦は大きなアドバンテージだ。

エスパルスは直近7試合で6勝1敗。この間の得点は合計16で、1試合平均2.29。反対に失点はわずか3で、1試合平均0.48。また、7試合のうち5試合は無失点だった。

シーズンも終盤に差し掛かる中、安定的な成績を残せていることについて、指揮官は「チームの成熟」と表現。チーム内では個人の特長を互いにつかみ、選手同士の連携・連動が進んでいる。ただでさえ個の能力が高い選手が、呼吸を合わせたプレーをすることにより攻撃力・守備力は何倍にもなる。

このいい流れを継続するために注目したいのは共にユース出身の北川航也と西澤健太だ。

主将の北川は6月の藤枝戦以来ゴールを挙げられていないが、ここまで9得点とランキング6位タイにつけ、あと1点で2桁に乗せることができる。

また、自身の得点機会は遠ざかっているもののエースとして強い責任感を持ち、多くのチャンスメイクに貢献している。「フォワードに要求されるのは得点」と口にする一方で「ゴールは水物」と割り切りも見せ、「自然体で臨みたい」と静かに闘志を燃やす。

一方、5月の鎖骨骨折から回復したものの、まだ公式戦には出場できていない西澤は9月6日に28歳の誕生日を迎えた。

本人は「中堅」という言葉は好きではないというものの、2023年にプレーオフで敗れた経験を忘れずチームにフィードバックするという、若手選手を指導する役割を自ら勝って出ている。今季の目標からブレないために“大人の選手”として貢献している姿は頼もしさしかない。体の調子も戻り、レギュラー復活もあと少しだろう。

故障者の復活はチームにとって戦力アップという意味では好材料である反面、秋葉監督の悩みの種ともなる。誰を先発で起用し、誰を交代枠に選ぶのか。秋葉監督は「25人枠にして欲しい」と冗談めかして言うが、現実は1試合18人しか登録できない。

今季の絶対目標である「J1復帰」を成し遂げるために、秋葉監督は誰を選び、誰を起用するのか。そのタクトが注目されている。

秋葉監督「前期の借りを返したい」

-試合の間が1週間空いた

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
ゲーム感覚やリズム云々はあるが、天候は自分たちが関与できるものではない。観客・サポーターや選手自身の安心安全が第一。運営側が良い判断をしたとして、自分たちも休息が取れたし、戦術的にもいろんなことに考える時間ができたとプラスで有意義な向きに捉えたい。

-次節は首位争いに関わる長崎との直接対決

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
ホームでできるのは強み。また、ビッグマッチになればなるほど普段通りの力を出せるかどうかが大事だと去年の終盤に痛いくらいに感じたし、それを知っている選手も多い。

急に1週間、バタバタ慌てて準備するのではなく、常に強度高く、クオリティ高くやって、普段通りピッチに入れるという、いつも通りのマインドを持つということ。

長崎は個の力があり、クオリティの高い外国人選手がいて、そこは警戒しなければならない。守備に入ればハードワークするのは間違いないが、いかに我々がそれを上回れるか。攻守において我々の方が上回るからこそチャンピオンになって昇格に値するクラブだと思っている。「優勝しよう」「昇格しよう」と言っているのに、ここで長崎にシーズン・ダブルを食らうなどありえない。アウェーでは4失点したので、ホームで前期の借りを返したい。

-9月4日の練習は正確さと強さの両方を磨いている印象を受けた

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
その2つは年間通して、選手のフットボール人生を通して、普遍的なものだと思っている。1対1の強い選手、テンポよく正確にパスの通せるチームが良いのは普遍的なこと。こういう時にそれを大事にしながらやることを選手たちも理解してくれている。そうしたタレント性を攻守で見せつけたい。

-直近7試合は6勝1敗と攻守で成果が出ている

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
シーズン中、時間とともに選手やチームが成熟してきた。個人の特長も互いにつかめてきていることで選手同士の連携・連動が進んだため、ストロングな武器で勝負できるようになってきた。「勝った」「負けた」で一喜一憂せず、「何が素晴らしいことなのか」を探し出している。

多分、選手は試合よりトレーニングの方がキツイと思っている。トレーニングの方がレベル高くやれている。だから、チーム力は上がっているし、選手の能力が上がっている。この日常レベルを高く保ちたい。1日1日大事にしてきたその成果が、今に現れていると思う。

-ケガの選手が多く復帰し選択肢が増え、人選が大変になっているのでは

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
J1でも通用する選手。誰が出てもいい状況。毎日毎日胃が痛い。

だが、たった1試合で選手の将来が決まる。そこでビッグプレーができる可能性があるし、次のゲームに出られる可能性にもつながれば、外側から見られる眼も変わる。

それほど我々は選手の人生がかかっている選択をしているので、真剣に見るし、いろんな角度から判断材料を増やしながら、選手同士の組み合わせまで考えながらやっている。

本音では交代枠含め25人欲しいくらいだが、実際そうはいかない。苦渋の決断だが、「チームが勝つために」という基準で毎週考え尽くしている。だから選手も一喜一憂するのではなく、自分の成長フェーズや目標を考え、メンタルを揺さぶられることなく日常を大事にしてやって欲しいと思う。

北川主将「全員の力が必要」

清水エスパルス・北川航也 主将:
長崎とは順位が近く大事な試合なるが、この1年やってきたことを残りの試合で表現しなければならない。相手によっては引き分けでもいいマインドで来るかもしれないし、そういう敵を崩さないと勝ち点3を獲り続けられない。いかに先制点が大事になるし、「何が何でも」という気持ちが大事になるだろう。全員の力が必要だし、全員で優勝して昇格したい。

長崎は外国人選手の力強さや巧さ、個々の能力が高い選手がいるが、1対1で負けないところを含めホームのアドバンテージを十分生かし、ホイッスルから全力でゴールに向かっていければと思う。

自分が前からの守備の起点になっていることについて手応えを感じている。チームの攻撃をスムーズにするために守備でボールを奪うというスイッチになることは、やるべきことが多く難しいが、自分の成長として必要なことととらえている。

加えて、これまであまり得意ではなかった攻撃の組み立てについても自信がついたし、自分の長所になったととらえている。

現在9得点。あと1点で2桁に乗せることができるが、自分はチームが勝つためにプレーしている。これまでも点が獲れておかしくない機会や獲らなければならない状況で決められない経験を重ねて、自分の中で改善点を探しトレーニングを続けてきた。

獲れる時、獲れない時、プロでやっていればそういう時はあり、獲れない期間をどう過ごすかが大事だと思う。自分は間違いなく点を欲しいが、ゴールは水物の部分はある。このところチャンスは来ているし、作り出せてもいる。

フォワードが評価されるのは得点が一番と理解している。そろそろ決めないという危機感を持ちながらも、固くなり過ぎず、力み過ぎず、自然体で臨めるといい。

西澤選手「誰一人欠けずに優勝を」

清水エスパルス・西澤健太 選手:
中堅と言われることは正直嫌だったが、実際にチームを支えなければならない立場であることを感じてる。このところ試合にあまり関われていないが、若い選手には伝えてあげなくてはいけないことがある。

2023年はもう一歩のところまで行き悔しい経験をしてきた。残すところ10試合という状況になってチームがまとまらなければ勝っていけない。

ケガで休んでいた期間にチームを外から見ていて良くない時だったりとか、上手くいかない時期もあり、そうした時にチームをどうしていかなければいけないか、選手としてどういう言動をすべきか、行動をすべきか、改善していく方向性を自分の肌感覚で持つことができた。

ネガティブな気持ちになることもあったが、そうしたことを出さないでやるべきだと思う。そうした気持ちの選手がピッチに立つべきとも思う。とにかくチームのために戦えるか、ここまで来たらそれしかない。優勝のために戦えるメンタリティー、心構えを持っている選手で、自分を含め誰一人欠けずに優勝したいと思っている。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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