「植松被告のオンステージ」 やまゆり園“ 死刑判決 " 見えなかった福祉の課題

2020年03月20日(金)

事件・事故

相模原市の障がい者支援施設で起きた殺傷事件。
今回の判決を、専門家はどのように受け止めたのか。

障がいを持つ子供の親として、そして、福祉の研究者としてこの事件を見つめてきた静岡県立短期大学部の佐々木隆志教授に聞きました。

記者 「きょうで裁判は何回目ですか?」
静岡県立短期大学部・佐々木教授 「4回、5回目ですかね。きょうは植松がしゃべる場面はないと思うんだけれども、ちょっと複雑な感じ」

社会福祉学を専門とする静岡県立短期大学部・佐々木隆志教授。
介護の職につく学生たちに教鞭をとってきました。

そして、発達障害を持つ息子の父親でもあります。
佐々木さんが事件に強い関心を抱くようになったのは、息子の変化がきっかけでした。

佐々木教授 「(息子が)『大変だ、大変だ』と言っていた。『何が大変だ?』と聞いたら『植松がこっちへ来る』と言う」

植松被告の真意が知りたいと、これまで手紙のやり取りや面会を重ねてきました。

植松被告の手紙 『意思疎通の取れない人間は安楽死させるべき』

16日、傍聴券を求めて佐々木さんも約1600人の列に並びました。傍聴席はわずか10席。

佐々木教授 「当たらなかったですね。残念ですけれども」

裁判所の外で判決を待つことにしました。

そして、午後1時半開廷。

青沼潔裁判長 「主文 被告人を死刑に処する。犯行時の被告人は完全責任能力を有していたと認められる。殺人については、他の事例と比較できないほど甚だしく重大。死刑をもって臨むしかないと判断した」

佐々木教授 「障がいを持つ子の親としては、もう当然の判決で全く異論はないと思う」

一方で・・・

佐々木教授 「今回の裁判は植松被告のオンステージで終わったような気がして、たぶんこの裁判で十分満足をして、きょう法廷を出たのではと私は予測しています」

植松被告は以前から「控訴はしない」と言ってきました。

しかし、裁判では動機の解明につながるであろう生い立ちや、被告が過ごしてきた環境についてはあまり触れられることはなく、真相解明とは程遠い結果だと感じています。

佐々木教授 「植松被告が言っていた『社会に対する不満』や『介護の現場』が、裁判の過程の中で全くと言っていいほど出てこなかった。非常に残念だし、私に限らず社会の人はそれもすごく期待していたと思う。やはり司法の限界、そういうのも感じます。やっぱり怖いのは第二の植松の卵が社会に点在しているということが気になります」

この事件について、常々「現代社会が生み出した悲劇」と口にしてきた佐々木教授。判決を終えた今、願うことは・・・。

佐々木教授 「これからの、私たちの福祉教育というのは、知識と技術だけでは現場の介護場面を乗り越えられない。そこにもう1つ、倫理や価値のバランスが福祉教育の中でさらに必要だという部分を強く感じる。命が等しいということと、障がいとか、そこには線が引けないということ。インクルーシブな(誰も排除されない)社会なんだということを、いろいろな形で学生にも教授したいし実践したいと思っている」

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