“サクラエビ”未曽有の事態 エサに不漁のヒント? 静大と共同調査

2020年06月15日(月)

地域暮らし・生活ビジネス(政治・経済)

静岡県は駿河湾の特産サクラエビの不漁が未曽有の事態に陥っています。
6月5日に終わった春漁は、自主規制を緩めたにも関わらず史上最低の水揚げ量を更新。
不漁の原因がわからない中、漁業者と研究者が始めたのはサクラエビの「エサ」に注目した新たな試みです。

5月26日、県桜えび漁業組合の緊急役員会が開かれました。
「禁漁区内で操業している船がある」と報じられたためです。

県桜えび漁業組合・實石正則組合長 「事実として、そこに入ってしまったことに対してはご迷惑、ご心配、誤解を与えたことは申し訳ないと思います」

4月14日から始まったサクラエビの春漁。

解禁前の調査では広い範囲でエビの群れが確認され、県水産技術研究所も「資源は回復傾向にある」との見解を示しました。
組合は「禁漁区」を去年より狭め、ここ数年の不漁に終止符を打てるのではないかと期待をかけました。

しかし、実際に漁が始まるとサクラエビの群れは見つかりません。

「水揚げは少ないね、これじゃね。少ないね」

そんな中起きた禁漁区破り・・・

県桜えび漁業組合・實石正則組合長 「網をかけていけば、その場で操業するのではなく船は移動するものであって、潮の流れがあって、意識的に、故意で操業したわけでは全くない」

組合長は故意ではなかったとしましたが、禁漁区での漁は1日ではないと話す漁師もいます。

結局、漁獲量が回復する事なく迎えた、最後のセリは・・・

「清正丸9杯、11万6900円。9杯をヤマイチ」

少ないサクラエビを巡って取引価格が高騰しました。

新型コロナウイルスで需要が落ち込む中、加工業者からはあきらめに似た声も聞かれます。

加工業者 「はっきり言ってそんなに注文があるわけでもないのに、この高値で。コロナのせいでお客も離れてるし、注文がないけど持たなきゃならないっていう加工業者の苦しさっていうかね」

なぜサクラエビはとれなくなってしまったのか。

海洋学や生物学などの専門家が垣根を超えて集まり、解決法を話し合いました。
その中で関心が集まった1つに、サクラエビのエサとなるプランクトンがあります。

東京海洋大学・大森信名誉教授 「いつ頃プランクトンがたくさん増えて、年によって変化があるのか、もう少し詳しい研究をしてほしい」

由比漁協と静岡大学は共同でプランクトンの調査を始めました。
サクラエビの主な産卵場所である富士川沖や蒲原沖で海水サンプルを採取。

顕微鏡で覗いてみると・・

「これ、大きいやつとか。これ、これ、これ、カイアシ類(動物性プランクトン)ですね」

多種多様なプランクトンが見つかりました。

静岡大学・カサレト ベアトリス教授 「種類から数から、ものすごくアバンダント(豊富)とダイバース(多様)なサンプルでした。私から見るととてもヘルシーはエコシステム(生態系)と思いました」

豊富なエサにもかかわらず、なぜエビは増えないのか。
カサレト教授は次のように指摘します。

静岡大学・カサレト ベアトリス教授 「幼生が食べなきゃいけない餌の時期がずれた。“プランクトンがある”と“餌を食べなきゃいけない”の時期がマッチしていない」

教授によると、春、水温が上がり川や海底からの栄養分が運ばれてくると、植物プランクトンは一気に数を増やします。

プランクトンが増えるのは4月から6月。
通常6月ごろ産卵のピークを迎えるサクラエビの幼生は、豊富な植物プランクトンを食べて成長します。

しかし、ここ数年、産卵時期が7月以降にずれ込み、幼生が産まれた時にはプランクトンが不足しているというのです。

静岡大学・カサレト ベアトリス教授 「私はプランクトンを作って添加するのが一つのアイデア。幼生がアダルト(大人)になるまでヘルプする、プッシュする」

漁協と大学は、数年後には人工的に培養した植物プランクトンを海へまき、人の手でエビの成長を促す計画です。

新たな試みが本当に効果をもたらすのかどうか、まだわかりませんが、何もやらずに漁続けられないことは誰の目にも明らかです。
  
カサレト教授は「まずは調査をとにかく続けて正確なデータを集めること。そのためには専門家や漁業者、行政が一緒に協力することが必要不可欠」と話しています。
そして、調査は1年で終わるものではないので、資源を絶やさないためにも春と秋の2回、組合が決めた時間や方法で行っている現在の漁の仕組みを、まず見直すべきではないかと話していました。

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