富士山・史上初の夏山閉鎖 観光も研究も大打撃

2020年06月18日(木)

地域暮らし・生活ビジネス(政治・経済)

新型コロナウイルスの影響で今年の富士山は史上初めて夏山シーズンの閉鎖が決まりました。
毎年20万人以上が登山する人気の山に登れなくなったことを受け、影響が広がっているのは観光面だけではありませんでした。

世界文化遺産、富士山。

7月から始まる夏山シーズンには毎年多くの登山客が国内外から訪れます。

仲田悠介記者 「富士山の富士宮口です。去年はここから5万人余りが山頂に挑戦しましたが、今年は夏山シーズンの閉鎖が決まり、だれも登れません」

静岡・山梨の両県は5月、4つある登山道すべての閉鎖を解除しないことを決めました。

去年はのべ23万5千人、静岡県側だけでも8万人以上が登山した富士山。
登山道や山小屋は混雑しやすく、感染リスクが高いことなどが理由です。

夏山シーズンにすべての登山道が閉鎖されるのは史上初めてのことです。

富士山表富士宮口登山組合・渡辺尚俊組合長 「残念かなという気持ちと、寂しいな、悔しいな、それが入り混じった感じですかね」

富士山の閉山とともにすべての山小屋も休業します。
山小屋の営業だけで年間の生計を立てる人もいる中、山小屋を運営する組合にとっても苦渋の決断でした。

富士山表富士宮口登山組合・渡辺尚俊組合長 「1シーズン収入が0になるということを意味しますから。でも今年わずかな収入を求めてリスクを冒す、それよりも今年は断念して来年以降もっと安全に気持ちよく登ってもらうように、そのほうがいいんじゃないかという結論になりました」

影響を受けるのは山小屋だけではありません。
登山客が利用するタクシーやホテルなど、観光客を迎える街全体にとって大きな打撃です。

影響を最小限で食い止めようと、富士エリアのバスやタクシーの事業者たちは富士宮口5合目につながる県道の通行止め解除を要望しています。

富士急静岡バス・小佐野慶社長 「この観光路線があるからこそ、地元の路線を維持できている。もしこれがなくなると、地域の交通の崩壊にもなりかねない」

さらに、富士山で活動する研究者たちにも影響は及びます。

山頂にある富士山測候所。
1932年から気象観測が行われていましたが、2004年に有人観測を終了。
2007年からは大学教授などで作るNPOが活用をはじめ、去年は国内外から42グループ、のべ450人が訪れ、山頂という特殊な環境を利用して研究活動をしました。

富士山測候所を活用する会・鴨川仁事務局長 「富士山は世界的にみて、とがっている山なんですよ。なので、そういった観測対象に影響を与えることが非常に少ない。単に高いだけでない、単に孤立だけじゃないといういろんな利点があって、富士山は世界的に非常に研究に優れた山だということができます」

独立峰の富士山は、地上の気流に影響されにくく、大気や温暖化ガスなどの研究がしやすいといいます。
また標高や、空気が薄いことを生かした研究も盛んにおこなわれています。

しかし、今年は、研究者も富士山に入れません。

富士山測候所を活用する会・鴨川仁事務局長 「研究の面で言うなら、継続してデータを取っているという研究に関しては欠測ということになって打撃があります。一つ代表例を挙げますと温暖化ガスですね。CO2国立環境研によって長く計測されています。世界的にも重要なデータになっているわけですから影響は計り知れないと思います」

また、測候所の利用料で建物のメンテナンスなどの運営費を賄っていますが、収入がなくなるため、NPO自体が存続の危機に。

ホームページなどで寄付を募っています。

富士山測候所を活用する会・鴨川仁事務局長 「今のところ概算で1800万円くらいは必要だと。我々も解散になる可能性が高いと考えてまして、手を打たなかったら全くダメだろうと。これは不安要素もありますけども、そういうものを総合的にやって乗り切ろうと我々は考えています」

史上初めての、夏の“富士山閉鎖”。

ただ登るのを1年我慢すればいい、というだけでは済まない影響があり、様々な人たちが困難に直面しています。 

◆“弾丸登山”なら問題ない?

山小屋に宿泊しない、いわゆる“弾丸登山”ならという考えは危険です。

山小屋は緊急避難場所の役割もありますが、今年は閉じているのでいざという時に身を寄せる場所がありません。

川勝知事は「富士山を仰ぎ見る年に」と話しています。

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