静岡・駿河湾の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」 生態系の頂点“トップ・プレデター”か?

2021年02月08日(月)

地域

日本一高い富士山の足元にある日本一深い海、駿河湾。

この駿河湾の海底から新たに発見されたのが「ヨコヅナイワシ」です。

捕獲されたうち最も大きなものでは、小学5年生の平均身長とほぼ同じ約1.4メートル。

今回の発見が、謎が多い深海を解く鍵となるかもしれません。

静岡県の石廊崎と御前崎を結ぶ範囲で広がる駿河湾。

最も深い所では水深約2500メートル。

日本で最も深い湾です。

この駿河湾で深海にすむ巨大魚が発見、捕獲されました。

カメラをじろっと見つめ、泳ぐ魚。
 
周りの魚と比べても、かなり大きな体をしています。

大きいものでは体長1メートル40センチ、体重も25キロほど。

「セキトリイワシ」という深海魚の仲間ですが、新種で最も大きいことから「ヨコヅナイワシ」と名付けられました。

ヨコヅナイワシを発見したのは海洋研究開発機構。

「深海の生態系の頂点にいる生物とは」という調査を駿河湾で行っていました。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「2014年より日本で最も深い湾である駿河湾をターゲットとして、ここのトップ・プレデターの多様性と生態系における役割を明らかにするプロジェクトを始めました」

「トップ・プレデター」とは、その場所の生態系のピラミッドのなかで最も高い位置にいる生物です。

サバンナでは最も下の段に植物、次に草食動物、そして一番上の段にライオンのような肉食動物がいます。

ライオンのように他の生物に食べられることのない生態系の頂点「トップ・プレデター」は、生態系のバランスをとる重要な役割を担っています。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「生態系の中で重要な役割を果たすトップ・プレデターですけれども、気候変動が進むときに一番最初に姿を消してしまうのはトップ・プレデターであろうと考えられているわけです」 

しかし、深海には謎が多く「トップ・プレデター」に君臨している生物が何なのか明らかになっていません。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「深海では実際にピラミッドは何段積まれているのか、そして一番上に君臨するトップ・プレデターはだれなのかはわからない。言ってみればライオンを知らずしてサバンナの研究をしているような」
 
調査開始から2年。

ようやく駿河湾の深海巨大魚「ヨコヅナイワシ」の捕獲に成功しました。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「船の人が『シーラカンスが釣れた!』って大きな声で叫んで、見に行ったらシーラカンスではないとはわかりましたけど、普段見たことがないような魚が獲れたので非常にびっくりしました。図鑑とかいろんな文献を当たってみたけど、ちょうどピッタリ合うものがない。専門家でもよくわからないものが獲れてきたとわかりましたので」

種類の特定のために形態観察やCTスキャンを実施。

頭にうろこがなく、つるつるとした見た目の特徴や骨の構造から「セキトリイワシ」という深海魚の一種とみられたものの、すでに見つかっている約90種類のセキトリイワシとは一致しない特徴もありました。

海洋研究開発機構・河戸勝准研究副主任 「うろこの列の数=麟列数(りんれつすう)というんですけど、この麟列数が近縁種よりも多いと。口は、かなり大きく開く口を持っているというのも特徴です。尻ビレの開始、尻部の開始というのが、背ビレの末端よりも完全にうしろにきている、ヒレがまったく重なっていないということですね。これがヨコヅナイワシの大きな特徴の一つにあります。これまでに知られているどの魚とも完全に一致することはないということで、様々なさらに形態の分析を進めて、新種としてこの度登録することになりました」
 
さらに、ヨコヅナイワシがなにを食べているのか胃の内容物を調査すると、比較的大きな別の深海魚を食べていることがわかりました。

生態系ピラミッドのどの位置にあたるのか、筋肉のアミノ酸を分析し数値化した結果、駿河湾で捕獲された深海のサメたちよりも高い値を示しました。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「ヨコヅナイワシがサメ類に比べても圧倒的に高い栄養段階、『栄養段階4.9』ほぼ5ですね。同じ最新の手法を使って調べた世界中の海産の魚類のデータを集めても4.9は最も高い値になる。駿河湾の深いところでのトップ・プレデターであろうとわかってきました。この栄養段階を超えてくるのはなかなかないかなと思いまして、そういう意味で“横綱”のポジションは結構あるかなと思います」

静岡市清水区の東海大学海洋科学博物館。

博物館にはセキトリイワシ科に分類されている魚も展示されています。

そして、これまでに大学の調査などで捕獲された魚のなかに「ヨコヅナイワシ」と思われる巨大深海魚も保管していました。

雨宮帆風記者 「ヨコヅナイワシと思われる、こちらのセキトリイワシ科のこちらの魚。体調は1.1メートルとかなり大きく感じます」

身長150センチの記者と並んでも、この迫力。

この魚がヨコヅナイワシか、今後、調査が進められます。

また、ヨコヅナイワシを発見した研究チームは、深海の生態系を守っていくために深海魚の謎について調査を急ぎたいとしています。

海洋研究開発機構・藤原義弘上席研究員 「深海というのは海の中で最も広大で、ここにいるトップ・プレデターは、漁業がどんどん深いところにいくことによって絶滅の危機に瀕したりすれば、そこの生態系が大きく壊れる可能性があります。生態系が失われる前に、まずは一番影響の受けやすいトップ・プレデターの多様性とか役割というのを深海のなかでしっかり理解していくことは重要かと思います」

「ヨコヅナイワシ」には生息域や個体数、寿命などまだまだわからないことばかり。

今回の発見が、深海の謎を解明するための大きな一歩となったのかもしれません。

◆ヨコヅナイワシ◆

研究グループによりますと、この「ヨコヅナイワシ」はよく知られている魚のなかでは「鮭」や「鯉」それに「なまず」が比較的近く、イワシとは全く別だということです。

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