義足のサッカーに賭ける19歳~コロナ禍 静岡での1年は

2021年03月30日(火)

地域芸能・スポーツ

腕や足を切断した人が杖を支えにプレーするアンプティサッカーに懸けて、1年前静岡に移り住んだ19歳の男性がいます。

しかし待っていたのは新型コロナに病気との闘い…。

困難を乗り越えようとする男性を取材しました。

「やっと普通に生活できるなって、いつもの日常に戻ったなみたいな感じがありましたね」

愛知県豊田市出身の後藤大輝さん、19歳。

去年静岡にやってきましたが、この1年は後藤さんにとって我慢の年でした。

高校時代までは空手に打ち込んでいた後藤さん。

全国大会で9連覇を果たした父・史生さんの背中を追いかけ、自身も日本一に輝いたことがあります。

さらに・・・。

小学1年生からサッカーを始め、中学ではチームのエースでした。

高校でもサッカー部に所属していましたが・・・。

後藤大輝さん 「義足だと公式戦に出られるか分からないって言われて。やめるよとは言わずに勝手にやめていました」

生まれつき右手の中指がなかった後藤さん。

右足にも障害を持って生まれてきました。

歩ける前に義足にすればリハビリなしで走り回れるとの医師の勧めで、1歳で足首から下を切断しました。

その義足が公式戦出場の足かせに。

しかし、サッカーから離れ始めていた矢先に転機が訪れます。

後藤大輝さん 「空手で義足を壊して修理に行ったときに(アンプティサッカーの)ポスターがあって、『おーやってみよう、やってみたいな』みたいな。やれる場所見つけたなと」

それは、腕や足を切断した人が杖を支えにプレーする「アンプティサッカー」でした。

1チーム7人で、足を切断した人がフィールドプレーヤー、腕を切断した人がゴールキーパーを務めます。

後藤大輝さん 「昔は、オレは義足だから別にいいやって考えがあったけど、今はやっとって言ったら変だけど、みんな公平な立場にいるから」

素の自分でサッカーに没頭できる場所を見つけた後藤さん。

アンプティサッカーのチームは全国で9つありますが愛知にはなく、後藤さんは6年前に静岡に発足した「ガネーシャ静岡AFC」に加入しました。

競技歴わずか1年で臨んだ大会では得点王に。

さっそく頭角を現します。

そして高校卒業を控えた去年3月。

後藤大輝さん 「こんな体で生まれさせてもらって、ありがとう。逆に今では感謝の気持ちしかありません。いい経験ができたと、逆にこの体に感謝しています。常にそばにい続けてくれた家族たち、本当にありがとう。僕は静岡に行き一人で旅立つけど、片時も忘れることはありません。ありがとう」

静岡市の建設会社に入社した後藤さん。

1年が経った頃には、仕事も少しづつ板についてきました。

ただ、練習ができませんでした。

新生活と同時に感染が広まった新型コロナウイルス。

後藤大輝さん 「オレのせいかなって。静岡に来て、もうオレ俺のせいなのかくらい、練習ができてない」

大会や練習が全て中止になり、個人トレーニングの日々が続きました。

さらに、追い打ちをかけたのが・・・。

後藤大輝さん 「今まで耳のことは特に気にしなかった、慣れちゃったから。そんな悪かったんだって…印象的に。手術するくらいのことがあったんだ、みたいな感じで」

顎にも障害(口蓋裂)があった後藤さん。

その影響で耳の働きを調整する筋肉が弱く、かかりやすくなっていた中耳炎が悪化していました。

母・容子さん 「本当に本人に対して申し訳ないなっていうのが正直あるんですけど。大輝が耳が聞きにくくなって、自分で病院に行ったのが初めてだったので、相当聞こえなかったんだなって」

全身麻酔の手術。

幼い頃の手術の記憶がほとんどなく、不安をのぞかせる後藤さんの支えとなったのは同じ境遇の仲間でした。

ガネーシャ静岡AFC・若杉幸治さん「俺が手握っててやるか?」

後藤大輝さん「いい、いい…寝てるからわかんないです」

若杉幸治さん「大輝~!(笑)。全身麻酔はあれ一瞬だよ、本当に。だから夢も見ないから、全身麻酔は」

焼津市の若杉幸治さんは、大型トラックを運転中に事故に巻き込まれ右足を切断。

これまで20回以上の手術を乗り越えてきました。

後藤大輝さん 「記憶がない時に(足を)切ってからの逆境とか、そういうのもあると思うけど、記憶がある時に切ってからの逆境とかもすごいと思うから。もし違う環境で足を切っても、切ったことは同じだから言葉の重みは分かるし、ありがたいし、なおかつ頑張らなきゃって思いがより一層強くなるのかな」

迎えた手術当日。

この日は家族も全員、愛知から駆け付けました。

父・史生さん 「彼はまだ若いので、生きてく中でいろんな壁とかそういう試練だとかそういったことは必ず出てくると思うので。『自分がなんで』なんて思うこともあるかもしれないけど、もっと大変な人は絶対いるはずだし、そういうことを考えれば、これを経験に変えてまた生きてってくれればなと思いますね」

8時間に及ぶ大手術を乗り越えた後藤さん。

母・容子さん「おかえり」

父・史生さん「長いな~、一瞬だった?」

後藤大輝さん「え?」

看護師「今先生がお部屋で処置してくれるので」

新型コロナの第3波が収束に向かい、チームも徐々に活動を再開させる中、3月グラウンドには後藤さんの元気な姿がありました。

後藤大輝さん 「1年やれなかったから、1年分をこめた練習というか。1回の練習を集中してやっていきたいと思いますね、やれることにも感謝して」

静岡に来てから新型コロナに手術と翻弄された日々も、23日で1年。

困難を一つずつ克服し、仲間の支えのありがたさを噛みしめて、常に前を向いて歩いていきます。

※新型コロナ次第ではあるものの、今年の全国大会は9月に行われる予定です。

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