富士山・“登山鉄道”構想 山梨でも賛否が・・・

2021年04月05日(月)

地域

過去に何度も浮かんでは消えを繰り返して来た富士山・登山鉄道。

ここに来てその実現を公約に掲げた山梨県の長崎幸太郎知事が、構想策定に動き大きな注目を浴びています。

一方で山梨も一枚岩ではなく、地元からは疑問の声も。

現状を取材しました。

世界遺産・富士山に浮上している“登山鉄道構想”。

山梨県・長崎幸太郎知事「つくっていきたいと思っています」

おととし、長崎知事の就任をきっかけに、山梨県は検討会を立ち上げ研究が進められて来ました。

入口鎌伍記者 「登山鉄道構想の舞台として想定されているのがこちら、県の有料道路『富士スバルライン』です。検討会では既存の道路を活かすことで、環境への影響も抑えられるとしています」

道路に敷かれた軌道を走るのは、次世代型の路面電車「LRT」です。

山梨県側の麓から5合目まで30キロ弱の区間をLRTで結ぶこの構想。

しかしなぜ今、登山鉄道構想なのでしょうか?

山梨県・藤巻美文知事政策補佐官 「富士山を良くするためのもっといい手段があれば、鉄道にこだわる必要はないと思う。ただ一応、鉄道構想検討会からは鉄道が一番優位性が高いと言われていますので、まずは鉄道という切り口をもって富士山を見てみて、どのように取り組めるか」

富士山が抱える課題の1つ。

来訪者の急増。

おととし山梨県側の富士山5合目を訪れた人は506万人あまりで、世界遺産に登録される前の2.2倍でした。

車はマイカー規制の効果で、7年間で11万台減少。

一方で、規制の対象から外れている大型バスなどは9万台増え、環境への負荷が懸念されています。

そこで注目されたのが、二酸化炭素など有害物質の排出量が少ないクリーンエネルギーを利用した移動手段である「LRT」です。

往復1万円。

年間300万人の利用を見込みます。

山梨県・藤巻美文知事政策補佐官 「マイカー規制を強化すれば、ある程度は来訪客の数のコントロールは可能だと思います。ただ一方で、世界遺産委員会やイコモスから指摘されていることはそればかりではなく、例えば5合目の景観の改善、今は土産店や様々な施設が5合目に建っておりまけど、あの景観は世界遺産・富士山に”ふさわしくない”と言われていると考えています」

県では駅の整備と併せて、五合目の再整備にも取り組みたいという狙いがあります。

長崎知事は2月、静岡県の川勝知事にも直接「登山鉄道構想」を披露しました。

山梨県・長崎知事「登山鉄道を仮に作ることになった場合、その恩恵というものはすべての富士山の周りに及ぶようにしていきたい」

静岡県・川勝知事「色々と最先端の技術を駆使して環境にやさしい鉄道を構想しているということでした。構想案それ自体は検討に値するということであります」

ただ、構想に疑問を呈するのは意外にも富士山のお膝元、富士吉田市の堀内茂市長です。

山梨県富士吉田市・堀内茂市長 「今回(登山鉄道構想)検討会も地元ではなく、東京で、財界および学識経験者の方々で直接富士山と普段関わりのない、そういう形の中で富士山の検討会が行われているんですね」

構想は“頭越し”に作られたと不満を漏らします。

さらに整備費が1400億円と試算されていることについては・・・。

山梨県富士吉田市・堀内茂市長 「それだけのお金を使うのであれば、例えば富士山五合目の景観をしっかり直す、それから上下水道を完備する。いま鉄道等をやるよりも、やはり今まで通りのバス(シャトル)で、これを電気バスに代えればすべて要求されているものは解決できる」

そもそも登山鉄道の実現には安全面で課題が大きく立ちはだかります。

富士スバルラインでは3月22日、4合目から5合目にかけ4カ所で雪崩が発生し土砂がLRTが走る予定の道をふさぎました。

山梨県内でも分かれる賛否。

山梨県・藤巻美文知事政策補佐官 「ふもとの皆さんばかりではなくて、日本の皆さま方、世界中の皆さま方から、より良い富士山にするためのお考え、アイディアをいただいて、みんなで良い富士山、美しい富士山を作り上げ、それを後世につなげていくきっかけになればいいと思っています」

山梨県富士吉田市・堀内茂市長 「鉄道ありきの話、そういう報告であれば、鉄道を作るということに対してはっきりと私ども地元の考え方をお伝えしたいと考えております。簡単に一言でいえば、富士山を金儲けの道具に使ってほしくないというのが本音です」

山梨県も富士吉田市も富士山を守りたいと願う気持ちは同じです。

その方法と着地点をどこに見出せるのか。

共に富士山の恩恵を受ける県として静岡でも議論を注視し、時に意見する姿勢が求められます。

◆賛否をまとめると◆

登山鉄道構想の賛成・反対両者の意見をこちらにまとめました。

推進する山梨県は

▼車より有害物質の排出が少ない鉄道なら環境改善になる。

▼来訪者数を管理することができる。おととしは約500万人でしたが、往復運賃1万円かかると300万人に押さえられると試算。

▼五合目の景観整備も一緒にできる。

としています。

反対の富士吉田市側は

▼既存の道路を活かすとしても、富士山の地形を考えれば大規模な工事になり、自然環境への影響が懸念される。

▼雪崩や落石への対応を考えると、場合によっては新たな堰堤も必要になり、富士山に手を加えることになる。

世界遺産・富士山を「価値ある山」として後世につなげたいという方向性は一致しています。

拙速に議論をすすめ、世界遺産の認定を剥奪されてしまっては元も子もないので、議論を尽くしてほしいと思います。

直近のニュース

テレしず番組公式サイト

ただいま!テレビ

防災情報

静岡のニュースポータルサイト ShizLIVE

Line公式

Facebook公式

Twitter公式

Instagram公式

FNNプライムオンライン

FNN PRIME online

FNNビデオPost

ページの先頭へ