世界に1本しかない“浜名湖桜” 企業の力を借りていつの日か市の象徴に 生産者に苗木を増やすことを依頼

浜名湖桜

3年前、浜松市で偶然見つかった新種の桜。浜名湖桜と名付けられ、企業の力も借りながら市が苗木を増やそうと取り組みを進めている。

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浜松市中央区にある「はままつフラワーパーク」。

約30万ヘクタールに及ぶ広大な園内では、四季折々の草花を楽しむことができ、年間40万人が訪れるなど多くの人に親しまれている。

このフラワーパークの入り口付近に立つ1本の木。

はままつフラワーパーク・山下重善 技監:
この木が昨年新しく名前を『浜名湖桜』と付けた桜になります

職員が植えたわけではなく、種から自然に生えたことから建物と花壇の間で窮屈そうに立っている。

はままつフラワーパーク・山下重善 技監:
この木の状態からすると10年近く前になると思うんですけど、そのころ種が落ちて、そこから枝が伸びて大きな木になったと認識していますね

園内ではないこともあり、当初は職員も気に留めていなかったが、ソメイヨシノよりも開花が1週間から10日ほど早く一回り大きな紅色の花を咲かせることから専門家に調査を依頼。

すると3年前に新種の桜であることがわかった。

カンヒザクラやオオシマザクラ系統の桜が関係する雑種とみられている。

はままつフラワーパーク・山下重善 技監:
ここで誕生した桜だという風に僕たちも認識しているので、地域に根付いた浜名湖の名前が付いていますので、お客様に親しまれる、見て喜んでもらえる桜になってほしい。つぼみはたくさんついているので、たわわに花がたくさんついてくれるといいなと思いますけどね

しかし、この桜は国内に1本しかないため、市は地元の名物として貴重な浜名湖桜を守り、広めていきたいと考えた。

浜松市緑政課・二橋浩司 技監:
どんどん増やして市内のいろんなところ、浜名湖周辺だとかそういうところに植えてもらえるように育てていきたいと思っている

そうした中、市が頼ったのが飲料メーカーのキリンビールだ。

キリンビールはお花見や花火大会でビールが楽しまれてきた 恩返しとして、地域の風物詩の保全や継承を支援する「晴れ風アクション」に取り組んでいて、今回、売り上げの一部を浜松市に寄付。

そして、市はこの支援金をもとに茨城県の生産者に苗木を増やすことを依頼した。

成功した暁にはフラワーパークの園内に植えるほか、倒木を防ぐため市内で老朽化した桜の植え替えに使うなど保全に向けた活動に生かしていく考えだ。

浜松市緑政課・二橋浩司 技監:
非常にありがたいです。自分たちだけではなかなかできないところがこういった形で支援していただけるということで、多くの人に知っていただけますし、浜名桜を増やす活動、それから園内の桜の植え替えなどに活用させていただきたいと思います

3月27日。

浜名湖桜は早くも見ごろを迎えていた。

来園者:
かわいくて色も濃いしキレイですよね

来園者:
ちょっと違いますね、枝ぶりが違いますよね

来園者:
いま初めて知ったが、地元の名前が付いていて親近感が湧くし有名になってくれるといいなと思いますね

浜松市緑政課・二橋浩司 技監:
ソメイヨシノにつなぐ、すごい早咲きものとの間をつなぐ、フラワーパークならではの桜になってくれるとうれしいなと思います
いまは1本しかない浜名湖桜。

しかし、関係者はいつの日はフラワーパークを、そして市を象徴する桜へと成長させていきたいと意気込んでいる。

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