ダウン症の長男と触れ合う中で得た気づき 第2の人生を歩み始めたジュビロ磐田・山田大記CROが目指す“You’re the special”な社会

ジュビロ磐田・山田大記CRO

昨季を最後にジュビロ磐田で現役を引退した元日本代表の山田大記さん。現役時代から様々な社会貢献活動を行ってきた彼は、ピッチを離れたいま活動の幅を広げ、地域の支え合いで作る未来への思いを強く持っている。

打ち合わせに臨む山田さん

サッカー元日本代表で、ドイツでもプレーした山田大記さん。

国内ではジュビロ一筋12年。

Jリーグ通算300試合以上の出場を誇るが、惜しまれながらも昨シーズン限りでユニフォームを脱いだ。

引退後はスタッフとしてジュビロに籍を残しながら、現役時代に立ち上げたNPO法人の活動を通して、貧困や障がいなど様々な社会課題解決への支援にも力を入れている。

その一環として、今回およそ1カ月半かけて進めてきたのがクラブやメーカーとコラボしたオリジナルTシャツの製作だ。

会議の様子をのぞかせてもらうと「多様なものが合わさって1つのすばらしいデザインになっているよねって(いうような)まさしく社会と似ている感じの。このTシャツ自体にメッセージ性をちゃんと載せられるといい」と自らのイメージを伝える山田さんの姿があった。

そして、その思いを体現するのが袋井市にある障がい者の就労支援施設だ。

利用者の描いたイラストがTシャツのデザインを彩り、そこには彼の伝えたい“You’re the special”というメッセージも刻まれている。

長男と過ごす山田さん

山田さんの長男(4)はダウン症で、当初は「頭が真っ白になった」と振り返るが、あるがままを受け入れ、息子との人生に前向きになることができた時、「誰もが、誰かの特別な存在であること」に気が付いたという。

だからこそ障がいの有無に関わらず、みんなで支え、寄り添い合える社会を築いていきたいという思いが、彼を突き動かしている。

Tシャツやカードに記された”You’re the special”のメッセージは確実ファンにも届いていて、ある男性サポーターは「こういう輪がもっと広がって、みんな分け隔てなくやさしい世界になればいい」と答え、別の女性サポーターは「山田さん自身もお子さんのことを公表しているが、自分だけのことではなく広く活動しているのは本当にすごい」と口にした。

山田さんは「障がいに限った話ではなく、多くの人が自分自身のことを大切にしたり、周りの人を大切にしたりという社会をみなさんと一緒に作っていきたいと思っている中で、こういった形で多くの人にメッセージを伝えられる第一歩にはなったのではないか」と話す。

手がけたTシャツは4月25日のJ2・大分トリニータ戦でも販売される予定で、売り上げの一部は山田さんが立ち上げたNPO法人の活動資金に充てられることになっている。

愛するクラブがある静岡県からより多くの笑顔を生み出したい。

多様な人たちを巻き込み、新たな、そして多くの支えを力に歩む第2の人生。

その挑戦はまだ始まったばかりだ。

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