もう無理!?依頼急増の退職代行…その実態は? 「退職代行が無くなる世の中にしていきたい」 働きやすさを追求し実践する企業も

退職代行モームリのサイトとスタッフ

会社を退職する際に手続きを代行してくれるサービスの利用者がいま増えている。ワークライフバランスを重要視する人も増える中、それに向き合い努力する企業の取り組みを見つめた。

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退職代行モームリのスタッフ

退職代行モームリ・スタッフ:
お世話になります。私、退職代行モームリの北原と申します。御社でお勤めの◯◯さんの退職の件でご連絡致しました

仕事を辞めたい。

しかし、上司に直接話す勇気はない。

会社の人の顔すら見たくない…。

そんな悩みを解決するサービスが手続きを代わりに行う退職代行だ。

退職代行モームリ・スタッフ:
飲食物と文房具がまだ残っていて、こちらは処分してほしいと仰っていました。(処分してしまっていいんですか?)処分で対応いただきたいと仰っております。(わかりました)今後はご本人とご家族への直接の連絡は控えていただければと思います

LINEでの相談画面

こちらの会社は24時間365日、無料で相談が可能で、実際に退職手続きを依頼する際の料金は2万2000円。

過去3年間で3万5000人が利用したといい、ゴールデンウィーク明けのこの日も次々と悩みが寄せられていた。

寄せられた相談内容:
仕事を辞めたい…辛くて仕方がないんです…

寄せられた相談内容:
パワハラを受けていて精神的に来ています

上司からのハラスメントに同僚からのイジメ、さらには過酷な勤務体系など退職を希望する理由は人間関係や労務環境が6割を占め、20代から30代の相談者が8割に上るという。

モームリのサイト画面

退職代行モームリ 広報部・浜田優花 副主任:
4月から働き出して、そこでの人間関係の悩みゴールデンウィーク期間中の休みは時間があるので考えてしまい、思い出していきたくないと思い(連休)明けに依頼する人もいる。入社して1日目だが辞められるかなど当日の依頼もある。最近印象に残っているのは新入社員の依頼者で、入社式で社長に怒鳴られたという人が圧迫感を感じて退職した

飯田登生さん

退職代行を利用して以前の職場を辞めたという飯田登生さん。

正社員ではなく契約社員であることを入社後に初めて知らされたほか、業務内容も説明を受けていたこととは違っていたが、社長は取り合ってくれなかったそうだ。

かつて退職代行を利用した:飯田登生さん
出勤そのものが億劫、電車に乗るのも億劫という気持ちで働いていたが、ある日の真夜中にひとりでいたいとなった。真夜中1時~2時に駆け込み寺のような形で相談したが、返信がとても早く、これなら任せられそうだなと思い依頼し、実際に朝起きたら「退職が確定しました」というLINEが来ていて、スピード感でかなり安心した記憶がある

浜田優花 副主任

最近では退職代行の認知度が高まりスムーズに辞められることがほとんどだと言うが、モームリ広報担当の浜田さんはこうした業者を頼らざるを得ない現実を企業にも受け止めてもらいたいと話す。

退職代行モームリ 広報部・浜田優花 副主任:
退職代行モームリとしては退職代行を無くしていきたい。無くなる世の中にしていきたい

ユースエール認定要件

のこぎりや刃物の製造を手がける静岡県袋井市の天龍製鋸。

若い世代の働きやすさを実現しているとして、2024年に国からユースエール認定を受けた。

有休の取得率や直近3年間の離職率、時間外労働など12の基準を満たすことで低利子での融資などが受けられるユースエール認定制度。

社員 約200人の天龍製鋸では、毎月の所定外労働時間が平均で7.7時間、有休取得率は82.4%と基準を大きく上回っている。

高橋奈々子さん

天龍製鋸 人事課・高橋奈々子さん:
労働時間の適正管理を徹底するために、時間外労働をする際は事前に上司は申請をするようにしている

残業は基本的に2時間まで。

それ以上の場合は改めて労働組合への申請が必要です。

さらに…。

天龍製鋸 人事課・高橋奈々子さん:
有休はお互い様というのがすごく定着していて、休みにくいという雰囲気は一切なく、非常に取りやすいと感じている

天龍製鋸で働く男性社員

有休の理由については詮索しないよう徹底しているほか、上司から積極的に休暇を取るよう伝えている。

こうしたこともあり、2024年は対象となる男性社員のうち75%以上が平均1カ月間の育児休業を取得。

野中有布作さん

社内のネットワークを管理している野中有布作さんは2カ月を子育てに充てた。

天龍製鋸・野中有布作さん:
職場の上司と同僚たちから後押ししてもらった。そういう応援してくれる環境もあり(2カ月の育児休業を)取ることができた。自分ひとりでは仕事は成り立たないと思うし、育休を取得させてもらったのも周囲の人の協力や理解があったからからこそ。そういう気持ちは忘れずに常に感謝の気持ちを持って人と接することで、自分だけでなく職場の環境も良い方向に進んでいくと思っている

入社3年目の社員

また、社員が挑戦したことと業務内容に乖離がないよう社内アンケートや個人面談を積極的に実施するなど試行錯誤を重ねている。

入社3年目の社員:
退職代行(を利用する人)の話は多いと思いものの、個人的には退職するという一言にお金をかけるのはもったいないと思う部分もあるが、それはいま良い環境で働かせてもらっているから出る言葉なのかなと思う

入社4年目の社員:
世間の会社ももっと若者のことを理解して、どのように働きたいのかを聞いてあげたら離職率を下げられるのではないかと思う

時代の移り変わりに伴う意識の変化。

互いに理解し合うことがいま求められている働きやすさへの第一歩なのかもしれない。

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