大阪・関西万博の紙ごみがトイレットペーパーに”変身” 創業以来大切にしてきた「紙は紙から」の精神を胸に 東京オリンピック・パラリンピックでも高評価

万博のゴミと佐野副社長と再生されたトイレットペーパー

2025年4月から開催されている大阪・関西万博。静岡県富士市にある製紙会社ではこの万博の会場で出た紙ごみをトイレットペーパーの原料として再利用するという取り組みを進めている。

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コアレックス信栄(静岡県富士市)

静岡県富士市に本社を置くコアレックス信栄。

1961年の創業以来、「紙は紙から」をモットーにリサイクル事業に力を入れている。

コアレックス信栄・佐野仁 副社長:
ここが一般の家庭や企業から出た紙ごみが届けられる場所。1つの大きさ(塊)が大体1トン近い重量になっている

全国各地から送られてくる古紙の量は1日あたり約170トン。

取り除かれた金属類を説明する佐野副社長

その多くが難再生古紙と呼ばれる防水加工が施されたパックやフィルムや金属のついた紙製品などだ。

コアレックス信栄・佐野仁 副社長:
遠心力で回転をさせて比重の重いものが取り除かれる。主に機密書類についていたバインダーのクリップや留め金、ホチキスなどの金属類が非常に多く出て来る

こうした難再生古紙はこれまで可燃ごみとして処理されていたが、こちらの会社では
紙の繊維だけを抽出する独自の技術を確立。

これにより資源として加工することができるようになり焼却した場合と比べて二酸化炭素の排出量は4割程度に抑えられる。

万博会場からのゴミ

この技術を駆使していま進めているのが大阪・関西万博の会場で出た紙ごみをトイレットペーパーへと再生させる取り組みだ。

対象となるのは各パビリオンで配布されるパンフレットや会場マップはもちろんのこと紙皿や紙コップといった使い捨ての食器の数々。

最短3日間でトイレットペーパーへと姿を変え再び万博会場で使用されている。

コアレックス信栄・佐野仁 副社長:
これがトイレットペーパーだが芯がない。せっかく大阪・関西万博の会場で出た資源をリサイクルしているので、会場に戻してトイレットペーパーの芯が残ってしまうのは違うだろうと究極の環境商品として提供している

コアレックス信栄

開幕から1カ月あまり。

すでに11トンもの紙ゴミが回収され順次、“再生作業”が進められている。

コアレックス信栄・コアレックス信栄:
この技術を万博の会場で披露できるということは世界に情報発信ができると考えている。紙ごみと言われているものも立派な資源。これを有効に再資源化して、資源の少ない日本だが有効に活用していきたい

4年前には東京オリンピック・パラリンピックでも選手村で出た紙ごみをよみがえらせるなど技術力に定評があるコアレックス信栄。

再生されたトイレットペーパー

一方、時代の移り変わりの中である懸念も抱いている。

コアレックス信栄・佐野仁 副社長:
これからペーパーレスという時代に入る。そうすると我々が原料とする古紙は非常に発生しにくくなってくる。焼却処分されている再利用されていない古紙、これをいかに使い尽くしていくのかが大きな課題

いつの時代になっても生活になくてはならないトイレットペーパー。

「紙は紙から」の精神を胸に、これからもリサイクルの可能性を広げる挑戦は続く。

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