”一軸入魂”を胸に 町工場が培ってきた技術の結晶をオリジナルグッズでPR 蝶番に光を

街中で使われている蝶番と蝶番モチーフのグッズ

開き戸や箱の蓋などに使われる蝶番。みなさんはどんなイメージを持っているだろうか?静岡県伊豆市にはこの蝶番をPRするためにオリジナルグッズのブランドを立ち上げた町工場がある。

【動画】80年かけて培ってきた技術と未来をつなぐ”蝶番” 一軸入魂の精神を胸に新たな取り組み 町工場に光を

右から伊藤社長と妻・とも子さん

キーホルダーにメモ帳、さらにクリアファイル。

デザインされているのはいずれも開き戸や箱の蓋などに使われる蝶番だ。

蝶番

静岡県伊豆市にある伊藤金属総業。

配電盤などの機械を収める金属の箱と扉をつなぐ蝶番を主に製造・販売している。

長年、蝶番を作り続け、年間の出荷数は約100万個。

様々な注文に応じて、図面通りに製品を作るだけではなく、見えない部分にまで心を込めたモノづくりを大切にしていて、工場に掲げられたモットーは一球入魂ならぬ”一軸入魂”だ。

伊藤金属総業・伊藤徹郎 社長:
蝶番というのはこの丸い部分に軸が入って製品になる。この丸い部分に軸が入り蝶番が作動すれば使えるが、この丸い部分を極力“円”に近づける、そんなこだわりを持ってやっている

CHOUTSUGAI MANIA―GOODS COLLECTION

街の至る所に使われているものの普段はその存在をあまり意識することがない蝶番。

このため、伊藤社長は工場の見学会を実施しているほか製作体験も積極的に受け入れていて、見学会と製作体験は伊豆市のふるさと納税の返礼品にも登録されている。

伊藤金属総業・伊藤徹郎 社長:
我々としてもこんな仕事をやっている、モノ作りはこんな素敵な仕事だということを皆さんに伝えたい。そんな町工場や蝶番に光を当てたい

こうした中、地元の高校生が出したアイデアをもとに生まれたのが蝶番をデザインしたトートバッグ。

若い世代の柔軟な発想に触発された伊藤社長はその後も社員の意見を取り入れながらグッズ開発に着手し、現在「CHOUTSUGAI MANIA-GOODS COLLECTION」と名付けた7種類の商品を展開している。

イベント販売

週末には精力的に販売会を開催。

伊藤金属総業・伊藤徹郎 社長
普段工場で作っている品物は直接お客さんが手に取って買ってもらうということがなかなかないので、イベントで直接我々が考えたものを手に取ってもらい喜んでもらえるのは本当にうれしい経験

イベント販売

この日出店したイベントにはSNSなどを通して取り組みに興味を持った人も遠方から訪れていた。

東京からの来場者:
既存の注文を受けて(の製造)よりも何か自分で創作していくことにすごく興味があり、素晴らしいなと思う

来場者:
すごく頑張っていると思う。蝶番の可能性を皆さんに広めていくのはすごくいい取り組みだと思う

来場者:
すごくかわいいなと思った。小さなハートが隠れているのもかわいいなと思った

福祉施設とのコラボグッズ

また、新たな取り組みとして工場の近くにある福祉施設で障害のある人たちが手作りした籠やバッグとコラボした商品の販売も始めている。

伊藤金属総業・伊藤徹郎 社長:
蝶番は柱と扉をつなぐものだが、蝶番のおかげで我々もいろいろな人や物とつながることができて本当に感謝するしかない、そんな存在。グッズももう少しいろいろ考えたいと思うし、いずれ本業の仕事にもつながるようなPRできればいい

2025年で創業からちょうど80年。

町工場が培ってきた技術と歴史は蝶番がきっと明るい未来とつないでくれるはずだ。

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