伊東市初の女性リーダー 抽象的な公約が多いという批判にはどう応える? 目指すビジョンと素顔に迫る

田久保市長と愛車と自宅のグッズ類

5月29日、伊東市にとって21代目の市長となった田久保眞紀 新市長。市が誕生して78年の歴史の中で女性リーダーは初めてとなる。田久保市長とは一体どんな人なのか?その考えや日常に迫った。

【動画】新図書館建設の「中止」を公約に初当選 伊東市制初の女性市長は“石橋を叩きつつも突っ走る”タイプ 新市長が目指す未来と素顔

当選を喜ぶ田久保市長(5月25日)

5月25日、現職に約1700票差をつけて初当選した田久保眞紀 新市長。

就任早々、公約に掲げた通り市が進めてきた新図書館の建設に関わる入札を中止するなど早くも存在感を放っている。

田久保市長は千葉県船橋市生まれの55歳。

中学3年生の時に家族と共に静岡県伊東市へと移り住んだ。

大学卒業後は都内で会社員をしていたがひとり暮らしの母を心配して15年ほど前にUターン。

カフェのオーナーとして奮闘する日々だったが、そんな中、地元で巻き起こったのがメガソーラー建設の反対運動だった。

メガソーラー建設反対運動の様子(2018年)

9年にわたる運動の結果、市が規制条例を施行させたことでメガソーラー計画は事実上棚上げに。

この活動に身を投じたことが政治の世界へと進むきっかけとなった。

伊東市・田久保眞紀 市長:
議員になりたいとか政治の世界に入りたいというのは実は全然なかった。メガソーラーの問題が佳境に入っていた時で、私たちの中から議会に入って、ちゃんとコミットして行く人がいないと、大きな社会問題は終わらないということを活動の中で実感した

田久保市長の母・ミエ子さん

市長選出馬について、母のミエ子さんには事前に相談は一切無かったと言い、まさか我が子が市長になるとはと笑う。

田久保市長の母・ミエ子さん:
(Q.事前に相談は?)無いですよ。新聞を見てびっくりして、(市長選に)出てびっくり、当選してびっくり、全然相談はなかった。体に気をつけて、みんなの為にいろいろ約束したことを少しずつ実現させて欲しい

愛車を運転する田久保市長

何事も思い立ったと同時に石橋を叩きつつも突っ走るタイプという田久保新市長。

自宅には女性に根強い人気を誇るゲーム「うたのプリンスさま」のキャラクターグッズがずらりと並び、趣味は読書に音楽、さらにアニメにバイクと多彩だ。

また、車も好きで市役所には真っ赤な愛車を自ら運転し登庁している。

伊東市・田久保眞紀 市長:
車自体が好きで運転するのが好き、助手席にはあまり乗らない。賛否あるかもしれないが、市内の南の方に住んでいるので、(職員に)迎えに来てもらってまた送ってもらうとなると時間がかかる。それなら自分で行った方が時間も効率も良いのではないか

田久保市長

観光や福祉をはじめとする行政執行に関わる決裁はもちろんのこと、施策に関わる打ち合わせや会議、イベントへの出席など多岐にわたる市長の仕事。

伊東市・田久保眞紀 市長:
(Q.仕事は慣れましたか?)慣れてきました。就任したてなので挨拶に来てもらったりということが多く、その分ちょっと(応対が)多いかなと思うが、通常のペースになってみてどのぐらいなのか、しばらく経たないと分からない感じ

打合せする田久保市長

ただ、新しい交通サービスの導入やハコモノ行政からの脱却を選挙戦で掲げた田久保新市長だが、一方で抽象的な公約が多いという批判があるのも事実だ。

伊東市・田久保眞紀 市長:
私が何をしたいかというよりは、今この街に何が必要なのかということ、市民の皆さんが本当にいま必要だと思っているのは何なんだろうということ自体がテーマになっていたので、私の方で決め込むというよりは、大きな枠組みを示し、その中で市民の皆さんの「これが一番大事」とか、「もっとこっちをやってもらいたい」という意見が出てくる形にしたいと思い進めている

田久保眞紀 市長

その上で、まずは老朽化が著しい市民生活に直結する公共施設やインフラの改修が直ちに必要との認識を示した。

伊東市・田久保眞紀 市長:
公共施設やインフラの老朽化は非常に深刻になってきている。新しい建物を建てることは確かに夢があるかもしれないが、本当に今のうちに直さないといけないものがこんなにたくさんあったのかと。本当に早急に対応しないと間に合わなくなるので、一年目は地道な仕事かもしれないが、そういったことを市民に示し理解してもらうということをしっかりやっていきたいと思っている

人口約6万4000人の静岡県伊東市。

その8割が観光産業に従事し、農業や水産業も盛んな土地柄にあってどのように持続可能な自治体を作り上げるのか。

財源が限られる中で、その手腕が問われている。

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