活況の”おにぎり”市場 令和の米騒動の中でなぜいま? 参入障壁低く異業種からの挑戦も

異業種からも参入“おにぎり” 市場

価格の高騰によって今やニュースで目にしない日はないといっても過言ではないコメ。ただ、そんな状況下にあって活況となっているのが“おにぎり”市場だ。コンビニエンスストアやスーパー各社もしのぎを削る中、なぜいま“おにぎり”なのか?

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おにぎり専門店の店舗数(全国)

令和の米騒動とも言われる世の中にあって拡大を続ける“おにぎり”市場。

カカクコムによると、運営するレストラン検索・予約サイト「食べログ」に登録された“おにぎり”専門店の店舗数は5年半で1000店以上増加。

また、おにぎり等への支出金額も2024年は初めて6000円を超えるなど5年間で1.3倍に伸びている。

「おにぎりについて」の街の声

おにぎりについて街の声を聞いてみた。

家族連れの父親:
(Q.おにぎり買う?)買います。毎週買ったり朝も食べたり、必需品として使っている

家族連れの母親:
片手で食べられてコスパもいい。(Q.忙しい時も便利?)はい、ちゃちゃっと食べられるので

中学生:
土日の部活動で昼食に買ったり、結構食べたりする。(Q.飽きない?)いろいろな味があるから全然飽きない

男女2人組:
(Q.家で作るのと店で買うのではどちらが多い?)店で買う。店の方がおいしい

おむすびトレーラーすぎざき

いま、なぜおにぎりなのか?

その背景をヒモトクと…。

静岡県磐田市にある5月オープンしたばかりのおにぎり専門店、その名も「おむすびトレーラーすぎざき」。

このお店、実は磐田市に営業所を置く運送会社が運営している。

杉崎運輸・田崎英雄 事業部長:
運送事業は、地域と離れている部分があり、地域密着にしたいという思いがあった。コンテナの中でやるので、厨房設備もある程度限られた中でやらなければならず、冷蔵庫・コンロ・炊飯器などを考えると、あの中でやるには限界だった。おにぎり専門店ならたくさんの道具がなくても加工ができるのでそういう形でおにぎり専門店だなと

異業種ながらし烈な“おにぎり戦争”に挑んだわけは…何といっても参入障壁の低さ。日本人に馴染みがある一方で、レストランのような大掛かりな設備は必要なく調理も基本は握るだけ。

また、運送会社だからこそ元々コンテナを所有していたことも大きな要因だった。

おにぎりの仕込み作業

とはいえ、手軽に参入できるだけに味で心をつかみリピーターを獲得しないことにはこの戦いに勝ち抜くことは出来ないおにぎり業界。

この日も朝8時から仕込みが行われていた。

おむすびトレーラーすぎざき・スタッフ田中芳江さん:
客の顔を思い浮かべながら、喜んでもらえるように、笑顔で食べてもらえるように、ひとつずつ作っている

目指しているのは“おふくろの味”。

大きさはコンビニエンスストアで販売されているものよりやや大きい120グラムから130グラムで、具材は常時10種類以上。

接客の様子

来店客とのやり取りも親しみやすい印象だ。

来店客:
どうしようかな。大きいよね?

スタッフ:
そうですね、比較的

来店客:
2つだと多いよね? 99歳のおばあちゃんだと。それでいいです

スタッフ:
おむすびだと案外食べられる。でも無理してはいけないので

「おむすびトレーラーすぎざき」のおにぎり

中でも地元・豊岡梅園が手がける20年物の梅干しや北海道産の鮭を使ったおにぎりが売れ筋となっていて昼時ともなると多くの人が買い求めに訪れる。

来店客:
コメがおいしいし、手作りですごくおいしいので従業員の評判が良くて買いに来ている。頼まれて

来店客:
1回買って、孫がおいしいって言うから(また来た)

来店客:
なかなか周辺に(飲食店が)無いので良い

静岡県産「にこまる」

販売価格は1個220円から300円。

ただ、昨今のコメの価格高騰には不安も抱えている。

杉崎運輸・田中好美さん:
最初に思い描いていたコメの値段とはかけ離れてしまい、大変苦労した。今後収穫されるものに関しても値段が不透明

こちらの店ではJAと契約し、もちもちとした食感と強い粘りが特徴で冷めても美味しいといわれる県内産の「にこまる」を使用していますが、仕入れ価格の値上がりは、今後覚悟せざるを得ない状況です。

杉崎運輸・田中好美さん:
コメの確保自体は問題ない。そのまま継続できるという話はもらっているが、今年よりは高くなるのではと言われている。(にこまるの)価格改定は9月くらいと聞いている。(Q.契約更新を迎えるときの気持ちは?)心配、不安でいっぱいだけど、大幅に上がらないことを願っている

杉崎運輸・田中好美さん

価格が落ち着く見通しは立っておらず、先行きは不透明だが、当面の間、利益を多少削ってでも値上げには踏み切らない方針だ。

杉崎運輸・田中好美さん:
地域の皆さんに貢献したいという思いで、おむすび専門店を始めているので、貢献することが一番なので、なるべく上げないように頑張りたい

参入の障壁が低いがゆえに新規出店が相次いでいる“おにぎり”業界。

現在のコメ価格の高騰が冷や水となるのか…それとも今後も拡大傾向が続くのか。

ブームの行方が注目されている。

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